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「糖尿病はバーチャルな病気」という言葉は、石井均先生(奈良県立医科大学)との会談で養老孟司先生(東京大学)がおっしゃっていた名言です(石井均.『病を引き受けられない人々のケア』.東京,医学書院,2015,47-70)。皆さんは「健康診断で指摘され、いやいや初診にやってきた糖尿病患者さん」や「治療中断をしていて、久しぶりに『足が腫れた』と言ってきた糖尿病患者さん」を目の前にして、「どうやって糖尿病という病気を理解してもらって、治療に前向きになってもらったらいいんだ!?」と、感じたことはないでしょうか?(私はいつもです)しかし、患者さんにしてみれば糖尿病は「バーチャルなもの」です。進行すれば神経障害のため、なおいっそう症状は消えてしまいます。この「仮想的な疾患」を患者さんに理解してもらい、療養行動にうつしてもらうためには「見える化」が大切です。2011年秋に刊行した本誌増刊『すぐに使える! 究極の糖尿病患者説明シート50』は「見える化」を意識した一冊でした。今回の増刊号では、この5年間で大きく変わった糖尿病医療のトピックスを取り入れ、完全リニューアル版とさせていただきました。そして「こんなときには、どう説明したらこの患者さんは変わってくれるのか? 魔法の言葉があればなあ」といった希望に答えるために、臨床経験豊富な先生に「患者さんが変わる魔法の言葉」を執筆いただきました。「名医の名言集」ともいえるこの説明シートが、糖尿病患者さんの行動変容にすこしでもつながれば望外の喜びです。最後に、わが国の糖尿病領域のトップランナーとして超ご多忙であられるにもかかわらず、「秘伝の魔法」までご執筆いただいた諸先生方に深く感謝申し上げます。大阪市立総合医療センター 糖尿病・内分泌センター 部長/糖尿病内科 部長細井雅之編集にあたってバーチャル(仮想的)な病気―糖尿病

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