130181851
10/16

どのような疾患・患者さんか 肥満は、おもに環境因子と遺伝因子の相互作用によって発症するとされています。単純性肥満の原因とされているものには、「過食と運動不足」「摂食パターン」「熱産生の低下」「遺伝」「精神的因子」などがあります。 肥満の合併症といっても、肥満のタイプによって異なります。脂肪細胞の「量的異常」に伴う肥満の場合は、①変形性関節炎、腰痛症など整形外科的疾患、②睡眠時無呼吸症候群、③月経異常、が頻発します。一方、脂肪細胞の「質的異常」に伴う肥満の場合は、①脂質代謝異常症、②高血圧、③高尿酸血症・痛風、④肝機能障害・脂肪肝、⑤冠動脈疾患、脳梗塞などを高頻度に合併します。 食傾向としては、過食に加えて「早食い」「夕食のボリューム過多」「就寝直前までの摂取」、さらに「体重を図ることを拒む」「空腹を感じる時間が少ない」「睡眠時間が短い」など、問題行動が影響していることを経験します。なお心理面では、本人のボディーイメージに誤認がないか確認し、空腹感や満腹感の認知ができているか、心因性摂食行動異常の有無、自己決定能力、自己効力感などの確認がきわめて重要となります。具体的な指導内容 まず患者さんには、肥満に伴う種々の健康障害を改善するために減量が必要となり、減量のためには摂取エネルギー量を制限(運動療法を併用)することが、もっとも有効で確立された方法1、2)であることを伝える必要があります。治療目標としては、個々に差はありますが、現在の体重から3〜6か月で3%以上の減量を目指すことが一般的であり、小さな目標のクリア第2章患者にぴったりの指導ツール&手法を公開!合併症や併存疾患のある患者への食事指導術1肥満の2型糖尿病患者への食事指導術京都大学医学部附属病院疾患栄養治療部副部長 幣 憲一郎(しで・けんいちろう)52糖尿病ケア2018 秋季増刊

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る