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糖尿病ケア 2019年秋季増刊41くあります(写真2)3)。 糖尿病患者では中足骨骨頭部の足底部と足趾部にできやすく、糖尿病神経障害があると厚い胼胝を形成しても違和感や痛みを自覚せず歩行を続けてしまいます。その結果、肥厚した角質内やその下に出血し、血腫が自潰し潰瘍を形成して、深部感染を起こし壊疽に至ることがあります4)。 神経障害患者の約半数に足底圧分布異常を認め、足潰瘍のほとんどが荷重負荷部に好発していることが報告されています5、6)。神経障害が進行すると、足の凹足変形が進みハイアーチになるとともに脂肪偏在なども加わり胼胝ができやすく、足病変の発症リスクは増大します(写真3)。3.胼胝・鶏眼の診断と鑑別 鶏眼と鑑別すべき疾患としては、ウイルス性疣贅が重要です。ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus;HPV)による足底囊腫も鶏眼と同様に痛みを伴うことがありますが、表皮に変化の少ない皮内から皮下にかけての囊腫であるため触診で鑑別できます3)。また、非荷重部に生じる種子大の小さな鶏眼は、点てん状じょう掌しょう蹠せき角かく化か症しょうである可能性があります。4.胼胝・鶏眼の治療 胼胝は初期であれば保湿剤などで肥厚部分をやわらかくし、原因となっている圧迫を取り除くことで角質増殖の進行を防ぐことができます。肥厚が強度な場合は、カミソリやメス、コーンカッター、グラインダーなどで肥厚した角質を削り、足にかかる圧を軽減させます。 鶏眼は、厚い角質を削り中央の角質柱をつまんで弯わん剪せん刀とうで出血しないように円錐形に摘除する方法や、生検トレパンや皮膚キュレットなどを用いて芯の部分を深く取り除く方法もありま角層表皮真皮核(core)鶏眼胼胝図●鶏眼・胼胝の模式図(文献2を参考に作成)第   章写真でまるわかり! 糖尿病の足病変

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