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糖尿病ケア 2019年秋季増刊42す。歯科用グラインダーやかたい組織破砕用のレーザーを用いる場合もあります3)。 サリチル酸ばんそうこうは、歩行などでずれてしまい正常な皮膚まで軟化させて傷をつくる可能性があるため、糖尿病患者にはすすめられません。患者自身がカミソリで削ると、誤って創傷や感染につながる可能性があるので、糖尿病患者には自己処置をしないよう十分な指導を行うことが大切です。月2回まで「鶏眼・胼胝処置」の保険算定が可能です。 胼胝・鶏眼の原因は靴にあることも多いので、皮膚の肥厚部分を削るだけでなく、靴の選びかたや履きかた、歩きかたを見直す必要があります。関節可動域を改善するためのストレッチやインソールによる免荷療法も有効です。なぜ胼胝・鶏眼ができるのか、その根本的な原因を突き止め改善していくことが予防につながります。1.尋常性疣贅とは 尋常性疣贅はいわゆる「いぼ」です。HPVの感染症で、微小な外傷から角化細胞に感染します。尋常性疣贅は、その臨床的特徴によって足底の角化性局面を呈する足底疣贅、ドーム状の小結節で噴火口状の外観を呈するミルメシア疣贅、融合して敷石状を呈するモザイク疣贅などがあります7)。疣贅を疑う所見があった場合は、安易に削ると感染を拡大させる可能性があるため、かならず皮膚科を受診するようにします。2.尋常性疣贅の臨床症状 尋常性疣贅は、通常個疹は径数mm大の角化性丘疹、小結節としてみられ、乳頭腫状の表皮過形成のため表面は細顆粒状に見え、削ると点状に出血します8)(写真4)。また、点状出血の存在は治癒判定の目安となります。3.尋常性疣贅の診断と鑑別 尋常性疣贅と鑑別すべき疾患としては、足底では胼胝・鶏眼、点状掌蹠角化症です。胼胝・鶏眼が骨・関節突出部や靴と接する部位に生じるのに対し、尋常性疣贅は荷重のかからない部位にも生じます。尋常性疣贅が荷重部位に生じた場合、内下方性に食い込むため鶏眼に似ますが、表面の角質を削ったり、ダーモスコピーで観察したりすると、真皮乳頭層の上方への突出を反映した点状出血や血管拡張がみられます(写真5)3)。4.尋常性疣贅の治療 尋常性疣贅には多数の治療選択肢がありますが、保険適用外の治療も多いです。①液体窒素凍結療法:もっとも一般的な治療です。綿棒を液体窒素に浸し、疣贅に数秒間圧抵し凍結と融解を数回くり返すと、2週間ほどで痂皮化し脱落します。疣贅が残存する場合は1尋常性疣贅

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