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糖尿病ケア 2020年 春季増刊21 医師を始めて6年目のことでした。医学的な知識や技術的なことも一通りできるようになり、それまでの経験から患者の病気を治せるという(または治せないものは治せない)という自信がついてきていたのだと思います。今考えると過信と思い違いなのですが……。看護師たちと治療の話をするときに違和感がありました。外来の患者、入院中の患者の病気を診て、それぞれそのときの治療はできていたと思いますが、病院を離れて、「病いをもって生きる人」を想像することをしていませんでした。研究生活に入るため7年目以降にいったん臨床を離れ留学し、医師ではない自分を生きたとき、病気を診るという小さな世界では見えなかった「社会で生きることの大変さ」を実感しました。帰国後、そのことを看護師たちと話すなかで、そのときの自分の視点を指摘され、違和感の原因がはっきりしたのです。医療スタッフたちが見ている「『病いをもつ人』がその人の人生を生きるなかでの治療を考える医療とはなにか」を教えてもらったように思います。他職種から教わったこと■ 引用・参考文献 ■1) 日本糖尿病学会編・著.“糖尿病とはどのような病気か”.糖尿病療養指導の手びき.改訂第5版.東京,南江堂,2015,21-8.糖尿病のきほん第1章

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