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糖尿病ケア2020年 秋季増刊63血糖変動と動脈硬化 持続血糖モニター(continuous glucose monitoring;CGM)やフラッシュグルコースモニタリング(ash glucose monitoring;FGM)などの血糖測定機器が使用できるようになり、24時間の連続した血糖変動をとらえることができるようになりました。血糖値が激しく乱高下する大きな血糖変動は、血管壁を障害し、動脈硬化を進め、心血管イベント、脳梗塞のリスクを高めます1)。したがって、食事に含まれる三大栄養素の質と量、および食べかたにより、血糖変動をできるだけ小さくすることが重要です。糖質と血糖変動■1炭水化物とは 炭水化物とは、「糖質」とヒトの消化酵素では消化できない「食物繊維」とを合わせたものです。食物繊維は血糖値の上昇を抑え、血糖変動を抑制します。とくにペクチンやアルギン酸、グルコマンナンなどの水溶性食物繊維には粘りがあり、胃から小腸への食物の移動を遅らせ、栄養素を包み込んで吸収を遅らせます2)。また、水溶性食物繊維は腸内細菌の餌となり、酢酸やプロピオン酸などの短鎖脂肪酸を生成し、腸内環境を改善します。未精製の穀類などに含まれる不溶性食物繊維のセルロースやへミセルロース、リグニンなどは、水分を吸収し腸の蠕動運動を高め、便秘解消に役立ちます。■2血糖値への影響 三大栄養素のうち、血糖値にもっとも影響を与える栄養素は炭水化物(糖質)です。糖質は消化、吸収が早いため、ほかの栄養素よりも早く大きく食後血糖値を上昇させます。食後の血糖値上昇の80~90%は糖質によるものだといわれています。糖質を多く含む食品を単体で摂取すると血糖値は急激に上昇しますが、混合食においても、糖質量と血糖値は相関して血糖上昇3三大栄養素が血糖変動に与える影響京都女子大学家政学部食物栄養学科教授/今井佐恵子(いまい・さえこ)医療法人社団啓政会梶山内科クリニック院長/梶山靜夫(かじやま・しずお)第2章糖尿病治療が血糖値に与える影響

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