130182150
10/16

解説ページ糖尿病ケア 2021年 春季増刊18血糖値って何? 血糖値とは、血中のブドウ糖(グルコース)濃度を示します。通常、血糖値は70~140mg/dLの範囲で維持されます。糖尿病患者では、初期には食後の血糖上昇が起こりやすく、進行するとさらに朝食前の血糖値も上昇してしまいます。血糖値に影響するものは何? 血糖値はさまざまな影響で変化します。血糖値を上げるものには、感染症やストレス、運動不足、炭水化物中心の食事などがあります。血糖値を下げるものには、運動や野菜中心の食事などがあります。 血液検査結果の血糖値をみて、前回より上がった、下がったと一喜一憂する患者がいます。もちろん、低血糖や著明な高血糖はよくないですが、血糖値は一日のなかでも変動していて、食後の経過時間、食事内容、運動などによって変化するため、単純な比較には注意が必要です。あえて、血液検査をする時間を診察日によって空腹時、食後1時間、食後2時間、食後3時間と変えることで、一日の血糖値の推移を可視化しやすくなります。測定する方法によって違うの? 血糖値は、静脈血での血液検査が基準となります。日常診療では、血糖自己測定(self-monitoringofbloodglucose;SMBG)や、持続血糖モニター(continuousglucosemonitoring;CGM)、フラッシュグルコースモニタリング(ashglucosemonitoring;FGM)も参考になりますが、血糖値とまったく同じではないことに注意が必要です。 末梢組織でブドウ糖が消費されるため、血糖値は動脈血>毛細血管血>静脈血の順に低値となります。SMBGでは毛細血管から採取し、静脈血漿値に換算された数値が表示されます。規定では「血糖値75mg/dL未満では±15mg/dL、血糖値75mg/dL以上では±20%以内に測定値の95%以上が入っていること」と測定誤差の可能性があることが示されていて、診断や治療ではなく、あくまで日常の自己管理のためのものです。 CGMは皮下組織に留置したセンサーを用いて、間質液中のグルコース濃度を測定しますが、間質液中のグルコース濃度と血糖値のあいだにも乖離が生じます。血糖値が上下するとき、とくに低血糖からの回復時には注意が必要です。ステップ1

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る