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はじめにこの書籍は、2014年12月から2015年2月に行われた「陣田塾:KG(看護現場)プラクティショナー育成プログラム」の講義、ワークをライブ形式にまとめたものです。「陣田塾」は、私にとって大いなる挑戦でした。発端は、メディカ出版から2004(平成16)年に刊行された『ナースの力、ぐんぐんアップ術』の中の「陣田塾」にあります。あれから10年が過ぎて職場も変わり、定年を過ぎたいま、私が続けていること、それは「看護現場学」の普及です。なぜなら、そのニーズが高いからです。いま看護の現場は、ナースたちが疲労困憊しているように見えます。やりがいを見失っているような状況もあります。そのような中で「なにか元気が出るような話をしてほしい」等、その要望は減少するどころか増えていくような状況です。一方、これ以上各地の施設からの研修要請等に応じ切れない状況もあり、さてどうしたものか、というところが、「陣田塾」開講に結びつきました。私は、以前の経験の中で「長い間看護師として仕事を継続してきたのに、なぜ実践してきたことを言えない、書けないのだろう?」という疑問を持ったことがあります。それは私の看護師としてのアイデンティティを揺るがすものでした。この疑問探求を通して「看護現場学」なるものを創りました。この“問い”から創造した「看護現場学」を中心に「陣田塾」が考案されました。この陣田塾では、2日間×3クールの合計6日間、看護の“知の見える化”を目指して講義とワークを繰り返し行います。“看護の知”について考え、仲間との語りを繰り返し、知の相互作用の中で広がり深まっていくことを実感します。次に、感じたことを書いていきます。書くのが苦手な実践家が、実に自然に「書きたいことを書いていくのです」。この様子は、私自身も感動するくらいです。この本は、そのような陣田塾における学びが深まっていく様子を再現し、読者の皆さんと共にその様子を体得してもらえることを意識して構成しました。本書を手に取ってくださった読者の皆さん方に、看護の“知の見える化”のプロセスの奥深さと、楽しさを味わっていただくことを期待しております。2015年6月    陣田泰子3Nursing BUSINESS 2015 夏季増刊

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