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10Nursing BUSINESS 2017 春季増刊役割を「医療の目的上の行為」に限定するもので、患者の身の回りの世話は、医療上の目的によって行うものに限られることになりました。ただし、「身の回りの世話は家族」へと時代が戻ったわけではなく、食事の介助などは看護補助者が受け持つことが多くなりました。かつて家族が行っていた役割を看護補助者が果たすようになったのです。とはいえ、寝具や食事の準備までを看護補助者が代替したわけではありません。「基準看護」と同時に、「基準寝具」や「基準給食」も始まり、寝具や食事の準備は病院側が行うことにもなりました。 「基準看護」とは、患者に対して看護要員が一定の比率を満たす看護体制のことで、看護要員には、看護婦、准看護婦の他、看護助手(看護補助者)が含まれました。「看護師の補助」としての時代 時代が下がり、1984年の「病院看護管理指針」は、看護補助者の業務をこれまでの基準看護の承認要件に基づいて示しました。続いて、92年には、公益社団法人日本看護協会がそのプロジェクト報告で、看護助手の役割を「看護婦の指示のもとに看護業務を補助するもの」としました。 また、同年の第二次医療法改正では、日本社会の高齢化に伴い、療養型病床群制度が創設されました。同年は、「看護師等の人材確保の促進に関する法律」が施行された年でもあり、高齢化と看護師不足の背景のなか、時代が看護補助者を求めるようになってきたことも見逃せないでしょう。「チームの一員」としての時代 療養型病床等を有するいわゆる「老人病院」では、看護補助者の役割の大きさが認識されるようになりました。看護補助者に対する診療報酬上の評価も始まり、1994年には、看護配置の低い療養型病床等の病棟に対して「看護補助加算」が新設されました。 看護配置の低い病棟は、「医療的ニーズ」より「生活支援ニーズ」が高い病棟だと言い換えることもできます。この年、「新看護体系と新看護補助体系」が創設され、看護補助者は、生活支援の専門職として評価されるようになったのです。これにより、患者の負担のもとに行われる付添看護は、全面的に解消されること23
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