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3Nursing BUSINESS 2017 春季増刊 平成24年に急性期看護補助体制加算が導入された直後、看護補助者活用に際して看護管理者が「どの業務を移譲すればよいの?」ととまどい「移譲してもよいとの法的根拠は?」「看護師の役割はどうなるの?」とさまざまな不安と葛藤を抱えていることに気づきました。 また、そのことは「看護補助者の人数が増えたにもかかわらず看護師の仕事量も減らず、患者の皆さまの生活の世話の質向上も見えにくい」との看護管理者の悩みにつながっているようでした。その一方で、看護補助者も「おむつ交換は私たちがしても違法ではないのですか」と情報不足からくる不安感を募らせ、退職者さえ出る始末でした。 私は、加算が導入される前から、回復期リハビリテーション病院、介護老人福祉施設そして看護補助者の活用に先駆的に取り組んできた第三次救急病院において、看護補助者がチームの一員として認められイキイキと活躍している様子を見てきました。彼らは患者ケアに際してPOS(問題志向型システム)を展開し、看護補助業務に誇りを持って取り組んでいました。なかでも、介護福祉士の資格を持つメンバーは新人看護補助者のプリセプターとして、「自分と握力も重心も異なる相手に、ただ介護技術を模倣させてもうまくはいかない。各人に適した指導をしなければ」と自己の指導をリフレクションできる有能な看護補助者として育つ様子を見てきました。しかし、そうした優れた人材が他の急性期病院に転職すると「ここではやりがいを感じられない」とすぐに退職する姿も目の当たりにしました。 看護補助者が、看護チームの一員として自らの役割に誇りをもって主体的に業務に取り組んでいる病院には、共通する管理のノウハウが存在しています。それらを多くの方に知っていただき、看護師不足が懸念される2025年問題に備えていただくことが本書の最大の目的です。 残された時間はさほど多くはなく、神に祈る思いでメディカ出版の粟本安津子氏に相談を持ちかけたのは2016年の初夏。幸いにも『ナーシングビジネス』2017年春季増刊号として発刊することができました。粟本氏、またナーシングビジネス編集室の猪俣久人氏の両氏に心より感謝申し上げます。また、急なお願いにもかかわらずご執筆を快諾くださいました各病院の看護部長、副部長の皆さま方には感謝の気持ちを幾重に重ねても追いつかぬ思いです。この場を借りてお礼申し上げます。 この書籍が、超高齢社会を力強く支える看護チームづくりの一助となれば嬉しく存じます。2017年1月 永井則子はじめに
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