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 戦後の日本では、入院患者の身の回りの世話を家族や付添婦が行うことが多い状況でした。その後、「看護は病院看護師により提供されるべき」という考え方のもと、1950年に完全看護制度が始まりました。この制度は、付添婦ではなく病院の看護師が患者の世話を行う場合に入院料を加算するというものでした。 しかし、「完全看護」という呼称ではあるものの、病院看護師のみで患者の世話をすべて行うことは困難であり、また病院で提供される看護の質を一定以上に保つことが必要であることから、1958年に「基準看護」が創設されました。患者に対する看護要員数と看護師の占める割合を定め、労働時間を一般労働者並みの8時間労働として三交代勤務を導入するなど、一定水準以上の看護提供を要件としました。 そして1972年には、入院料を室料と看護料に区分し、入院中の看護サービスを「看護料」という独立した形で評価するようになった変遷があります。しかし、基準看護の承認を受けられない病院は多数存在しており、1990年代に入っても付き添い看護は根強く残っていました。このため1994年の健康保険法改正によって、付き添い看護の廃止を含めた、「新看護体系」が創設されました。新看護体系では、看護職員と看護補助者を別の体系としたうえで、それらの体系を組み合わせた評価体系に改められました。 2000年には、入院環境料、医学管理料とともに、看護料が入院基本料として包括されました。2006年には7対1入院基本料が創設され、基準看護の創設以来、12年ぶりの看護配置基準の引き上げとなった経緯があります。 2018年の診療報酬改定では、急速な社会環境や経済状況の変化とそれに伴うケアニーズの変化に対応し、地域包括ケアシステムの構築を目指しています。つまり各施設は、地域医療構想の中で役割を果たすため、診療報酬を活用してその特性や機能に合わせた質の高い看護提供体制を構築することになります。 このように、「基準看護」の創設以降、看護サービスは主に「看護料」として評価されてきましたが、2000年に「入院基本料」に包括され、その後、入院基本料の中で、看護は入院中の標準的なサービスとして総合的に評価されるようになりました。ほかにも、入院基本料等加算、特定入院料、特掲診療料の中でも看護の基準が設けられ、看護サービスが評価されるようになっています。診療報酬改定からみる看護サービスの評価の変遷Nursing BUSINESS 2018 秋季増刊131●地域包括ケア時代の記録活用1章 理論編2章 Q&A3章 応用編

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