Nursing BUSINESS 2018 秋季増刊2 わが国では、少子超高齢社会に対応すべく地域包括ケアシステムが強力に推し進められています。持続可能な医療提供システムが模索され、制度改革が進む中、看護職が果たすべき役割はますます大きくなってきました。 社会経済情勢の変化やAI等のテクノロジーの進展は、医療提供体制に影響を与え続けています。また保健医療福祉の分野においても、保健医療福祉サービスが途切れることなく提供され、人々が住み慣れた地域で安全・安楽・安寧に過ごすための地域包括ケアシステムの構築が進められています。地域包括ケアシステムにおいては、施設内外でのチーム医療の展開が必須であり、看護職は、そのチーム医療の要になることが期待されています。そして、多職種が連携して情報を共有し、協働していくことがますます重要になっています。 2018年5月に日本看護協会から「看護記録に関する指針」が公表されました。その中で看護記録は他職種と情報共有する際の重要なツールの1つであり、看護を必要とする人の情報を網羅的に収集することから、他職種にとっても看護記録の有用性は高いこと、また、保健医療福祉サービスの提供に係る専門職・非専門職や看護を必要とする人が理解できるように記録を記載することが明示されています。さらに、一貫した看護を継続するためにも、看護記録が重要であることが示されています。 とくにこれからチーム医療を実現するためには、どのような場においても多職種間で情報を共有できる客観的な記録が重要です。そして、多職種間で情報を伝達するためには、理解しやすくわかりやすい言葉、つまり標準化した言葉を使う必要があります。 今後ますます多職種で患者(療養者)の情報を共有することが重要になります。つまり、多職種が共通認識できる記録が必要になるのです。そのためには記録する用語を標準化し、可視化することが必要であり、その構築が急がれています。 本増刊では「看護記録」をはじめとする、看護領域で扱う「情報」について、そのとらえ方、取り扱い方法、マネジメントへの活用などを解説しました。看護情報の管理・活用に悩むみなさまのお役に立てば幸いです。2018年9月 大久保清子はじめに
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