17Nursing BUSINESS 2019 春季増刊入退院支援の取り組みの現状と これから在宅ケア移行支援研究所 宇都宮宏子オフィス 代表 宇都宮宏子 従来の「退院調整」は「退院支援」、そして「入退院支援」へと機能を進化させています。診療報酬・介護報酬改定も追い風となり、日本各地で、新しいかたちの退院支援、在宅療養支援の取り組みが始まっています。2章・3章で紹介する事例とも関連づけながら、それらの現状と課題について解説します。 退院支援が必要になる患者は、入院医療を受けたけれど、入院前とは生活・暮らしが変わる人や、退院後も医療処置や管理が必要で、暮らしの場に医療のサポートがないと暮らせない人たちです。 そして、退院支援の軸には、患者自身が自分の体に起きていることを知り、折り合いをつけながら、住み慣れた地域や暮らしの場へ帰ろうと患者が受けとめ(受容支援)、最大限に残存能力を引き出し(自立支援)、「暮らしの場へ帰ろう」と決めるプロセスを支援すること、つまり「意思決定支援」があります。さらに、患者の住む地域にある在宅医療やケアサポート、生活支援につなぎ、整えていくという退院調整の過程があるのです。 退院支援は看護そのものです。病院という現場で、本来の看護を取り戻すために、筆者は言葉を整理して、看護師に対して発信・普及を行っています(次ページ表1・図1)。 筆者は、前職の大学病院やその後アドバイザーとして関わる場合も同様に、退院支援(意思決定支援と自立支援)という大きな概念の一部に退院調整(在宅療養コーディネート)を位置づけることで、外来・病棟、そして調整部門がチームで支援するというシステムを構築(カンファレンス・電子カルテ・看護看護部として退院支援を提供できていますか?2
元のページ ../index.html#9