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フレームワークを生かすために大切なこと さまざまな「思考法」が流行り、同時に「フレームワーク」を使って思考する効果が広く知られるようになって、これまで非常に多くの人たちがフレームワークを学んできました。しかしながら私には、それによって経営、マネジメント、さまざまな企画や業務改善、会議・コミュニケーションなどが進化してきたようには思えません。 なぜ、フレームワークが学びだけに終わってしまい、仕事に生かされないのでしょうか。 思考には、きっかけが必要です。当たり前ですが、考えてみようとする素材やテーマがあり、それがきっかけとなって思考はスタートします。残念ながら、思考の対象となる素材やテーマを発見できない人には、せっかく学んだフレームワークも生かせないということです。 では、思考のきっかけとなる素材やテーマを発見するために必要なのは、何でしょうか。 それは、現状への違和感や健全な批判精神、強い改善意識、理想的な状態を実現しようとする欲求などです。素朴な疑問や、不思議に思うことを流してしまわない態度。おかしいと感じる状況や、変えるべき点、やめるべきことなどを見つけようとする姿勢。こうありたいという理想像を描き、それに少しずつでも近づこうとする意欲。これらが、思考のきっかけとなる素材やテーマを発見させてくれます。 また、管理者が、個人としてこれらの要素を備えるだけでは十分とは言えません。マネジメントに関することから現場の実務的な細かい事項まで、管理者がそれらすべてをカバーするには、思考に値する素材やテーマは身の回りにあふれ過ぎているからです。したがって、メンバー各々が前述したような姿勢・意欲を持てるような組織風土を醸成すること。これが、管理者の重要な役割となります。 立場や役割にとらわれず、誰でも素朴な疑問を口にできる。そして、思いついた改善策を気軽に提案できる。多様なアイデアを否定せず受け入れ、皆でそれを進化させていく。全体で理想を共有し、徐々にでもその実現に向かおうとしている。このようなチーム、すなわち“思考する組織”にとって、フレームワークは大いに学びがいのあるものであり、大きな武器として機能するはずです。 本誌は、2015年に刊行したナーシングビジネス秋季増刊『マネジメントの基本概念が図解でわかる 速習!看護管理者のためのフレームワーク思考53』の反響を受けて企画したものです。好評をいただく一方、現場での使い方がわからないという声も寄せられ、その課題をクリアするための内容を盛り込んでいます。ご興味のある方は、本誌と併せて前誌にも目を通していただければと思います。 本誌が、思考のきっかけを生み出すヒントとなり、皆さんが所属する組織が“思考する組織”になるための一助となれば幸いです。2019年6月組織人事研究者 川口雅裕■はじめに

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