フレームワークで発見と想像力を膨らませよう フレームワークと聞くと、「なんか難しそう」、「一般企業だけで使われているものではないの?」なんて思う人もいらっしゃるかもしれません。しかし、医療や看護の世界でも十分に使えるものが意外にたくさんあります。たとえばSWOT分析などは、目標管理でも学んだことがある人も多いかと思いますし、PDCAサイクルを回す、5W1Hで報告する、業務の効率化を図る、会議の時間を短縮するなど、知らず知らずに活用していることもあるのではないでしょうか。当院では、毎年、春にその年度の取り組み課題を発表しますが、このときはBSCのフレームを活用して、医師、看護師、コメディカルがそれぞれの立場から目標を立てて報告しています。 ひとつのフレームワークを使う場合もあれば、さまざまなフレームを組み合わせて使い、分析を行っていくこともあります。だんだん慣れてくると頭の中にフレームができて、考え方もスマートになっていきます。 作業効率が悪いとか、思ったように成果が出せないなんてことはありませんか? その理由はどこにあるのか、組織的なものなのか、個人的なものなのか、それとも病棟運営に関するものなのか、外部環境や内部環境はどうかと、一つずつフレームに当てはめて見ていきます。そして、医療を取り巻く環境全体を鳥の目で見渡してみたり、虫の目で現場の意見を聞いてみたりなど、「ちょっとどうかな」と行きづまったとき、フレームに当てはめてみてはいかがでしょうか。使っているうちに頭の整理ができ、新たな気づきや発見につながることもあるはずです。 会議や委員会、教育の場面でも活用できるフレームはたくさんあります。私たちが研修のシステムとして使っているクリニカルラダーもフレームワークのひとつと言えます。まずは「個人の目標管理に活用したい」、「チーム活動を活性化したい」から始めてみてはいかがでしょう。そして、慣れてくれば、「業務改善」から「大きなプロジェクト」に展開を広げていくことも可能ではないでしょうか。ちょっとした問題や出来事があればそこがチャンスです。一度使ってみると「案外いける!」と思うことがあるかもしれません。フレームワークに従って思考をまとめていくうちに考える癖がつき、新たな問題が発生したときにもスムーズな解決を導いてくれるかもしれません。慣れてきたら、白い紙一枚で解決のチャンスをつかむこともできるでしょう。肩の力を抜いてぜひ、自分に合うフレームを見つけてください。発見と想像力がどんどん膨らんで、新しい自分へと導いてくれると思います。 本誌が、皆さんにもっと気軽に「フレームワークを活用してみよう」と思っていただくきっかけになることを願っています。2019年6月社会医療法人美杉会グループ 理事・看護部教育部長 髙須久美子
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