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はじめに 「経済財政運営と改革の基本方針2018~少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現~」では、地域のニーズや実情を踏まえた医療・介護提供体制の構築として、地域包括ケアシステムの推進や、疾病予防・重症化予防・健康づくりの推進、治療と仕事の両立支援、在宅での看取りの促進、オンライン診療の推進等、医療・介護に関わる具体的な方針が明示されました。保健医療情報の活用や強化では、2020年度を目処に、医療・介護に関わる情報の統合やオンラインによる保険資格認証等、さまざまな取り組みが始まります。 さらに、働き方改革、女性・高齢者の就業の促進、リカレント教育の拡充、生産性の向上、ICT・AI等の普及促進についても明示されました。また、医療・介護に関連して非常に広範な内容についての検討が並行して進められており、これらは、医療や看護の実践の場にもさまざまな影響を及ぼしてきます。関連する法律の改正も注視すべきところです。看護職における働き方改革 看護職が離職を考える理由には、仕事と仕事以外の切り替えができないことや目標を持って取り組めることがないこと、そしてワーク・ライフ・バランスの実現度が低いことがあげられています。この理由に共通した問題として労働環境への不安が考えられます。「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(2017年)では、これまで業務上で必要な研修をはじめ教育訓練の受講や学習等を行っていた時間は、労働時間とすることを明示しています。このことも含めて、医療現場がこれまで慣習的に行ってき8Nursing BUSINESS 2020 春季増刊医療現場におけるタスク・シフティングタスク・シフティングの 必要性と今後の課題 一般社団法人日本看護業務研究会 代表理事/福井県立大学 理事・教授 大久保清子今、わが国では社会保障制度改革が加速しています。誰もが将来展望を持ち、また生きがいを持って、その能力を最大限に発揮するために、働く人の視点に立った労働制度の改革である「働き方改革」が必要です。

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