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い人に対して、役割モデルになったり、教えたり、後援したり、励ましたり、カウンセリングしたり、年下の人を助けたりすることを通して、より熟練した経験のある人が、子どもを育成するように人を育成するプロセスである」と提示しています5)。組織内でキャリアを進めていくうえで、「こうしたい」という個人のニーズには、必ず「そうできない」制約が存在するとともに、「こうあってほしい」という組織のニーズも存在します。それゆえ、これらとうまく折り合いをつけながら進んでいくことが重要です。そしてこの折り合いをつけるための支援をする役割が「メンター」です。「師の謦けい咳がいに接する」という言葉があります。謦咳というのは咳払いのことですが、咳が届くほど近いところにいて、尊敬する人から話を聞くという意味です。こう考えると、スタッフナースにとって最も身近なところにいる主任や副看護師長は、まさに師匠に値する存在であり、メンターとしてピッタリの役割ということができます。メンターとは、ギリシャの詩人ホメロスの書いた叙事詩『オデユッセイア』に登場する老賢人「メントル」からきた言葉で、一般には「成熟した年長者」を指す言葉として用いられています。英語では「マスター(master)」と呼ばれます。そういえば、『スター・ウォーズ』のシンボル的キャラクターのヨーダは、周囲から「マスターヨーダ」と呼ばれていますね。12Nursing BUSINESS 2020 夏季増刊キャリア発達理論発達段階課題第4段階:初期キャリア(18~30歳)責任の一部を引き受ける助言者・支援者を見つける効果的に職務を遂行し、物事がどのように行われるかを学ぶ部下としての身分を受け入れ、上司や同僚とうまくやっていく方法を学ぶ第5段階:中期キャリア(25歳以降)自分の動機・才能・価値(キャリアアンカー)を慎重に評価する他者の助言者になる準備を行う家庭・自己・仕事への関心を適切に調整する第6段階:キャリア中期の危機段階(35~45歳)自分のキャリアアンカーを知るようになる自分の将来にとってのキャリアアンカーの意味を現実的に評価する他者との助言者(メンター)関係を生み出す(文献4より改変)表1

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