はじめに近年、医療や看護を取り巻く環境が大きく変化する中、看護管理者に求められる役割はますます拡大しており、それに伴って次世代の看護管理者育成が急務となっています。こうした中、2019年2月、地域包括ケア時代に求められる看護管理者育成のための指標として、日本看護協会から「病院看護管理者のマネジメントラダー 日本看護協会版」が公表されました。次世代の看護管理者育成に関しては、まず最初の入口となる認定看護管理者教育課程「ファーストレベル研修」が各都道府県看護協会を中心に開催されています。ただ、募集定員枠の制限があるため「研修に出したくても出せない」という現場の事情から、主任クラスの看護職の人材育成の多くは施設内教育でまかなっているのが現状です。そこで本書は、主に主任(およびマネジメントラダーⅠの取得を目指す人)を対象に、「主任に任命されたが看護マネジメントがわからない人」だけでなく、「主任を育てたい看護師長、看護部長」にも活用してもらうことを目指しました。具体的には、本書では、認定看護管理者教育課程「ファーストレベル」のカリキュラムに対応し、最も現場のニーズが高い「人材管理」の単元にフォーカスし、第1章:人材育成の基礎知識、第2章:看護チームのマネジメント、第3章:労務管理の基礎知識、という内容で構成しました。また、「マネジメントラダーⅠ」で定められた能力・定義を見ると、「人材育成能力」は、「自部署のスタッフを育成する体制を整備することができる」「スタッフの看護実践能力を把握し、個々の目標達成にあわせた支援・動機付けをすることができる」「外部からの実習・研修の受入れに際し、学習環境を教員などとともに調整することができる」と提示されています。この能力を達成するために、そして看護管理初学者にもわかりやすく、実践的なものになるよう、三コマ漫画や豆知識、学んだ理論を実践に落とし込むための「Tips」を取り入れました。さらに、本書を手がかりに看護管理の学習をよりいっそう深めていけるよう、巻末に各執筆者からの「学びを深める参考図書」を掲載しています。この本が、次世代の看護管理者としての成長するみなさんにとっての一助になれば、これ以上に嬉しいことはありません。2020年5月日本赤十字豊田看護大学 看護管理学領域 教授松浦正子3Nursing BUSINESS 2020 夏季増刊
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