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10Nursing BUSINESS 2020秋季増刊に、看護師に求められる役割と活躍の場はますます広がっています。しかし看護師不足は解消されず、また最近では卒業後に訪問看護ステーションに就職する学生が増えている事情なども鑑み、2022年の看護基礎教育の改正では、臨床判断能力の育成に向けてシミュレーションなどを活用した演習強化が盛り込まれる予定となっています。また、海外ではすでに実習をシミュレーション教育に置き換える実証実験が終了しており、その効果を踏まえて実習をシミュレーション教育に置き換える学校が増えています。日本でも、COVID—19を機に検証が進めば、今後さらにシミュレーション教育が推進されるかもしれません。 以上のように、学校教育は時代とともに大きな変革を遂げています。学習者が変化すれば、院内教育も変えていく必要があります。また、医療を取り巻く社会の変化に伴い、求められる看護師像も変化します。院内教育は、本当に現状維持のままでよいのでしょうか。教育専従者ですら相当に大変な院内教育の運営ですが、病棟の師長業務もかけ持ちとなると、その苦労は計り知れません。自然と前例踏襲に落ち着いてしまうことも理解できます。ただ、それをいつまで繰り返しますか? どこかで打破しない限り、現状は変わらないのです。“教える”から“自ら学ぶ”へ転換するために 学校教育においては、学習者中心主義の考え方が広がり、“教える”から“自ら学ぶ”スタイルへの転換が求められています。これは同時に、指導者の関わりにも転換が求められているということです。昔のような指導者主導型の詰め込み教育では、学習者が育たないことがわかってきました。今、求められているのは、寄り添い、学びをガイドする支援者「ファシリテーター」です。このファシリテーターの育成が教育を大きく左右します。同じ教材を使用しても、ファシリテーターの関わり方によって学びが何倍にも広がるだけでなく、学習者が動機づけられ、主体的になり、自ら学ぶ人材となっていくのです。 そしてファシリテーター自身も、学習者と関わりながら成長をしていきます。それはまるで、患者をケアしながら、患者に育てられていく看護師と同じ構図です。教育に必要なスキルとマインドを、学習者のいちばんの理解者になるべきファシリテーターと共有し、指導者の育成に力を注がなければ、真の人財育成にはつながらないでしょう。

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