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看護という仕事の見直しが求められる時代 医療を取り巻く環境は、目まぐるしい変化を遂げています。内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」が登場し、遠隔手術が可能となりました。病院内を見れば人型ロボットPepperくんが巡回し、患者支援のサポートをしています。さらに自動採血ロボットの開発も進み、腕を挿入すると、ロボットが血管の走行や深さを見極めて針を穿刺し採血してくれる日も近いです。テレビアニメで見ていたあの世界が、現実となりつつあります。 院内に目を向ければ、高度急性期化が進み、在院日数は短縮化され、医療処置を抱えたまま退院する患者が増えました。また、チーム医療や医師の働き方改革の推進に伴い、各医療職の業務の範疇も少しずつ拡大しています。薬剤師には調剤業務だけでなく一歩踏み込んだ業務が求められるようになり、フィジカルアセスメントの授業や研修が始まっています。2010年からは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士や臨床工学技士にも、要件を満たせば気道吸引が認められるようになりました。看護においては、2002年に静脈注射が診療の補助行為の範疇として取り扱うことが認められ、その後、ナースプラクティショナーの養成や特定行為研修が拡充し、特定行為の範囲も広がりつつあります。 社会が求める看護師像の変化や各医療職が担う業務範囲の変革に伴い、看護という仕事の見直しが求められています。求められる仕事の役割が変われば、院内教育も時代に沿って転換させていく必要があります。何を残し、何を置き変えるのか、しっかりと軸足を置き、未来を見据えて院内教育を見直さない限り、看護は何をする人なのか、その専門性を見出すことは難しくなるでしょう。 本書は、院内研修に役立つノウハウと実際の研修事例から構成されています。前半部分の院内研修に役立つノウハウには、各世代における特徴や研修企画に役立つ知識、当日の研修運営にも活用できる情報を掲載してあります。また、研修事例においては、各著者の先生方が実際の研修資料を添えてわかりやすく解説をしてくれています。 人は宝、人財です。今年はCOVID‒19の影響もあり、院内研修を見直す機会になっています。コロナ禍においてもタフで主体性のある伸びやかな人財育成につなぐコツを、施設を越えて共有できることを目指して執筆しました。ピンチはチャンス、こんなときだからこそALL JAPANで力をあわせて乗り越えていきましょう。本書が、院内教育に携わるすべてのみなさまのお役に立てれば幸いです。 2020年10月内藤知佐子はじめに3Nursing BUSINESS 2020 秋季増刊

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