8Nursing BUSINESS 2020秋季増刊 2020年はCOVID—19による影響が甚大でした。しばらくこの状況が続くと仮定するならば、院内教育のあり方を見直すときが来ているのではないでしょうか。また、多様性のある働き方や働き方改革の波もあり、研修時間を確保することは困難を極めています。この逆境を逆手に取り、院内教育をよりよいものにしていきましょう。何を残し、何を置き換えるのか、決して感覚的に行うのではなく、根拠となる事実や知識に基づいた教育改革を目指しましょう。学校教育は変化している まずは、学習者がどのような学校教育を受けて育ったかを理解し、院内教育に役立てましょう。 2008年、日本の子どもの学力低下や応用力に課題があることが指摘され、学習指導要領のなかに「基礎・基本を確実に身に付け、いかに社会が変化しようと、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力」1)、いわゆる「生きる力」を重視することが盛り込まれました。自ら学ぶという考え方は、教育心理学においては「自己調整学習」と呼びます。自己調整学習をわかりやすく解説すると「自分の考えをきちんと振り返り、自分でやる気を維持する努力をしながら学習を進めていくことです。また(中略)単に他者から与えられたものとして学習に取り組むのではなく、学習内容を自分事として考え、積極的に意味づけながら取り組むような在り方」2)のことを指します。 さらに2020年の学習指導要領の改訂においては、「何を学ぶか」だけでなく「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」という学習者中心主義の考え方が色濃く打ち出されています。その他、学習者中心主義の考え方を支援する教育として、能動的学修を意味するアクティブ・ラーニングがあり、2012年頃1院内教育を見直すべき背景京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻臨床看護学講座 生活習慣病看護学分野 内藤知佐子時代の変化に合わせて院内教育をどう改革していくか
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