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 一般社団法人日本看護系大学協議会によると、2020年1月から9月までの実習を対象とした全国調査において、臨地実習の内容や方法に変更があったと回答したのは全体の86.9%、臨地実習の中止は74.1%に及んでいます(250校/287校)1)。また、日本看護学校協議会による4月時点の調査においても、施設側から受け入れ困難と連絡を受けた学校は93.7%に及んでいる2)ことから、約9割の看護学生は何らかの影響を受けていたことがわかります。学校側は施設側と調整を行いながら、実習時期の変更(46.0%)、実習時間の短縮(58.5%)、学生の人数の縮小(25.7%)等さまざまな配慮を行いましたが、中には実習施設の変更を余儀なくされるケースもありました(37.0%)。 臨地実習の代替としては、遠隔授業形式による実習(25.3%)や遠隔実習と学内実習の組み合わせ(32.7%)、学内実習のみ(28.8%)で対応するなど、各施実習の実施状況と代替内容設のマンパワーや環境なども鑑みながら対策が講じられました。具体的には、グループワークを中心とした展開が主で、紙上事例や視聴覚教材、シミュレーターや模擬患者の協力を得ながらの実施となりました。中にはITを活用して実際の患者とオンラインで中継しながら実習を行ったケースもあります。そのほか、実習施設に依頼をして病棟内の様子がわかる動画を撮影してもらい学内演習に活かしたり、ごく少数ではありますがXR(仮想現実〈VR〉、拡張現実〈AR〉、複合現実〈MR〉)などを取り入れた大学もあります。 さて、気になるのは実習目標の達成状況です〔図-01〕。教員らは、さまざまな調整に追われながら代替実習においても学びを保証するために、教材づくりに奮闘しました。その結果、知識においては代替方法のほうがやや優勢となりました。技術においては、実際に臨床で体験できていないこともあり代替方法は劣勢です。態度に関しては、ほぼ同程度という印象ですが、患者や指導者と接していないため判断できないという意見が2割程度ありました。 代替実習の取り組みを実践してよかったと感じる点COVID-19の影響から実習を十分に経験せずに入職してくる新人に対して、 どのような関わりができると効果的でしょうか。2020年度の実習に関する 全国調査の結果を踏まえて、具体的な関わり方について解説します。京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻臨床看護学講座 生活習慣病看護学分野 研究員 内ない藤とう知ち佐さ子こ1999年国際医療福祉大学保健学部看護学科卒業、同年東京大学医学部附属病院勤務。2004年新潟県立看護大学大学院成人看護学講座助手、2008年同大学院看護学修士課程修了。同年京都大学医学部附属病院看護部管理室勤務、教育担当、2010年総合臨床教育・研修センター助教。2020年より現職。看護教育やシミュレーション教育を通して指導者の育成に取り組んでいる。弱みを強みに変えるコロナ世代の新人看護師の育て方序論06(294 )Nursing BUSINESS 2021 vol.15 no.4

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