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32Nursing BUSINESS 2021春季増刊 さて、勝原さんはこの17を「個人・看護師・組織人・管理者」と4つの「アイデンティティ」の下に分類しています。ここで「アイデンティティ」と言っているのは、「社会において特定の役割を果たしている自己(役割自己)」のことだと言えます。これを4つとしているのは、文献(先行研究)を踏まえた考察の結果のようです。「個人・看護師・組織人・管理者」の4つのアイデンティティは、私の表現で言うと「○○としての自分」のことです。どういうことかというと、社会において「私」はいろいろな役割を果たしつつ生きているのですが、ある場面で私は今どの役割を果たす者としてその場面に臨んでいるかを自覚的に表現する際に「○○としての私」と自己を認識することになります。例えば「看護師としての私」「医療機関という組織に属する者としての私」というように。「○○としての私」は「○○」という役割に応じて、勝原さんが言うところの「道徳的要求」つまり「社会的に何を要請されるか」が区別されるわけです。 勝原さんは「個人・看護師・組織人・管理者」という4つに分類しました出典:勝原裕美子.組織で生きる.医学書院.2016,110-111 図9(17) 法を守る(16) 日本的文化規範に従う(15) 地域のニーズに応える組織人管理者看護師個人(1) 個人の誇りを守る(2) 市民として行動する(3) ハラスメントに声を上げる(4) 社会的に人を助ける(5) 看護の質を保証する(6) 看護専門職としての誇りを守る(7) 患者の権利を尊重する(8) 患者の生命を守る(9) 他職種と協働する(10) 組織のルールに従う(11) 組織の利益に貢献する(12) 労働者の権利を守る(13) 部署や職場を代表する(14) 政策や政治的な要求を受け入れる図2‒14つのアイデンティティ―17の道徳的要求3)

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