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33Nursing BUSINESS 2021春季増刊が、私は次のように考えました。すなわち、まず①看護職者は、看護職という役割を離れれば、一人の社会人ないし生活者です。次に、②看護職者として、医療・ケアに携わる者ですし、さらには、③医療機関等の組織に属する者でもあります。勝原さんがいうところの「組織人」にあてられている9番目、10番目の道徳的要求は、看護実践している際の看護師が医療機関の一員でもあるという面を示しており、「管理者」に充てられている11~14番の道徳的要求は、組織の中で管理する側にある者の役割意識に関わる倫理に関わっています。ですから、この二つを「組織人としての私」としてまとめ、すべての組織人には「組織の論理に則って動く」役割を果たす状況があり、とくに管理者には「組織の管理をする」役割を果たす状況もある、というように下位区分することができるでしょう。 以上のような理解に基づき、①生活者(市民)の倫理、②医療・ケア実践者の倫理(=臨床倫理)、③組織人(医療・ケアを実行する機関に属する者)の倫理という順に考えていくことにします。2.生活者(市民)の倫理◆◆倫理を意識する時 以上のような次第で、まず一般的な生活者(市民)の倫理を考えてみましょう。 皆さまは、日常生活の中でどのような状況で倫理を意識しますか。たとえば、深夜住宅街の路上で3、4名ほどの若者が大声で叫んだり、笑ったり、ことばを交わしたりしているのを見たとしたら、どうでしょうか。周辺の住民のことを思って「うるさいねぇ」、「何時だと思っているんだ」、「安眠妨害だよ」など非難する気持ちになるのではないでしょうか。実際に近くの家の窓が開いてそのように抗議の声があがるかもしれません。近隣住民は実際に害を受けているのです。大声を出している人たちも、理性的に考えれば自分たちが害を与えていると分かるはずです。それなのにやめない……。「周囲(の迷惑)への配慮が2章 看護管理者のための倫理

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