M221751
14/16

2017秋季増刊102際、訓練中に尿意の訴えがあった場合、理学療法士(以下、PT)・作業療法士(以下、OT)は介入せず、看護師・介護スタッフに任せている病院・施設もあると聞きます。1)環境条件 模擬的な訓練場面(図1)では難易度も調整しやすいですが、実際のトイレ空間(図6〜8)では、尿意が切迫した状況や、便器から前壁・横壁までの距離を含めた空間の問題、手すりの位置や素材、便座の高さ、照明の明るさなどの違いも動作に影響を与えます。また、衣類の種類によってもズボンの上げ下げの難易度が変わってきます。⑥排泄動作で「できるADL」と「しているADL」との乖離が起こる6つの原因と対応10)対 応 なるべく早期に、転帰先のトイレ環境を把握し、同じような環境下で実際に排泄を行っていく必要があります。当院でも、「家屋評価チェックシート」を早期より家族に渡し、トイレに関しては、「入り口の幅」「入り口の段差(ある場合のみ)」「手すりの有無、種類」「便座の高さ」を確認しています。さらに、実際に家屋評価を実施し、退院前には外泊訓練なども促しています。外泊時にも、「外泊時チェックシート」を使用し、外泊中にトイレでこまったことなど、アンケート形式で確認しています。便器から前壁・横壁までの距離はズボンの上げ下げには大きくかかわります。病棟トイレは広いので問題なくても、自宅のトイレでは壁までの距離が1 m以下の場合も多くあるので、それに合わせた訓練が必要です(図9)。衣類に関しては、通気ADL訓練時(移動手段)ADL実行時(移動手段)車椅子自立(人)車椅子非自立(人)自立群W/C用トイレ(W/C)W/C用トイレ(W/C)10男性用便器(歩行)W/C用トイレ(W/C)20洋式トイレ(歩行)W/C用トイレ(W/C)11W/C用トイレ(歩行)W/C用トイレ(W/C)21W/C用トイレ(W/C)ポータブルトイレ11W/C用トイレ(W/C)しびん10男性用便器(歩行)しびん01非自立群男性用便器(歩行)W/C用トイレ(介助)02W/C用トイレ(歩行)ポータブルトイレ(介助)10おまる(介助)10W/C用トイレ(W/C)W/C用トイレ(介助)01しびん(介助)11W/C用トイレ(W/C介助)しびん(介助)03おまる(介助)01合 計1112表2 片麻痺患者の排尿動作(病棟内歩行非自立群)(文献9より一部改変)

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る