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第章1総論看護記録の構成要素の全体像2●●看護理論を用いた枠組み 理論の大きさ(範囲)からいうと、看護理論は大理論であり、それを看護過程に用いる場合は、情報収集から評価に至るまで、理論に基づいて実施します(表1)。データベースは、理論に用いられている概念の構成で作成することになります。書式でいうと、データベースだけは、用いる理論により構成が異なります。 例えば、「V. ヘンダーソン」の看護の基本となるものを用いるとすると、14の基本的ニードがあり、ニードごとに情報収集項目を設定します。ヘンダーソンは、基本的ニーズが満たされていない状態に対して、どのような看護を行うのかを示していますが、その看護にたどり着くための、アセスメントの視点や看護問題を示しているわけではないので、それらについては、施設で検討することが必要になります。「C. ロイ」の適応理論を用いる場合は、生理的機能、自己概念、役割機能、相互依存の4つの適応様式について情報を収集します。生理的機能には9つの機能が含まれ、それらについて具体的な情報項目が配置されています。ロイの適応理論は看護過程を含んでいるので、理解しやすいでしょう。さらに、アセスメントでヘンダーソンの理論を用いる場合、「常在条件/病理的状態が基本的ニードにどのような影響を与えているか」、そして、「基本的ニードは充足されているかどうか」を判断することになります。その結果、「基本的ニードが充足されていないこと」が看護問題となります。一方、ロイの適応理論を用いた場合は、まず、行動のアセスメントとして、4つの様式について収集した情報が「適応反応か、非効果的反応か」を判断します。次に、4つの様式を統合して、刺激のアセスメントを行います。すなわち「非効果的反応について、焦点刺激・関連刺激・残存刺激は何か」ということを判断します。その結果、「非効果的反応」が看護問題(看護診断)となります。ロイは、自身が示している看護診断の代わりに、NANDA-Iの診断ラベルを活用してもよいとしています2)。表1ヘンダーソンとロイの看護理論ヘンダーソンロイ看護の対象14の基本的ニードをもって生活している人物的・自然的・人的環境に適応していく適応システムである人間看護の目的基本的ニードを可能な限り自力でできるように助けること人間の4つの適応様式で適応を促進する看護の方法14の基本的看護の構成要素を実施する適応様式の査定、注目する適応行動の選択、看護目標の設定、看護介入、クライエントの刺激の管理と行動の評価看護過程への位置づけ明確には位置づけられていない計画立案による基本的看護の実施データを収集し、問題を明らかにしてアプローチを選択・実行し、結果として健康を促進し、生命の質を高め、尊厳のある死を目指したケアを行うことができたか評価すること172018秋季増刊
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