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4看護とセラピストが共有できる(ADLについての)看護記録 看護師とセラピストのカンファレンスで、同じADL場面について話しているのに、対象の理解に相違があると感じることはないでしょうか?看護師は看護師の、セラピストはセラピストの用語で話しているため、理解が得にくい状況があることが原因の1つです。また、セラピストがかかわる訓練場面は、患者のそのときの最大能力を引き出し、できることを増やす、すなわち「できるADL」を探ります。一方、看護は、訓練でできていることが生活に活かされ、なじむこと、すなわち「しているADL」を目指しているといえます。カンファレンスの目的の1つに、「できるADL」と「しているADL」の差をなくすことがあるでしょう。互いの職種の用語の理解や共有はもちろん、セラピストの視点やアプローチを知ることで、どのような情報を提供すべきか、どのような情報が提供できるのか、そのポイントについて事例をとおして説明します。はじめに東京湾岸リハビリテーション病院2階病棟看護師長      脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 中西まゆみCase1患者:Aさん、70歳代後半、男性。妻と2人暮らし。長女家族が同県に在住。現病歴:左中大脳動脈領域の脳梗塞。急性期で保存的治療を実施し、状態が安定した。発症2週目で自宅退院を目標に、回復期リハビリテーション病棟(以下、回リハ病棟)に転棟。ADLは車椅子レベル。簡単な指示の理解はでき、単語レベルでの発語がある。急性期病院に入院中に心房細動の指摘を受け、内服をしている。夕食時、車椅子座位で食事を摂取している場面での観察を行った。右片麻痺、失語症のある患者が左手でスプーンを持ち、自己にて食事摂取をしている場面852018秋季増刊

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