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922019秋季増刊1 人間として“食事をする”ということは、主体性のある社会的行為であり、生きる喜びを実感できる幸せなひと時となります。そのため、自分で食べることに困難を抱えている患者への適切な食事援助をすることが重要です。図1に安全・安楽・自立性・QOLを高める食事環境調整の要素を示しました。人的環境、物理的環境、コミュニケーション、マネジメントの4つの包括的視点で考えると部分と全体像が把握できます。摂食嚥下のメカニズムでは、以下に示す5期モデル(five stage model:先行期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期の5期)はじめにと、固形物の咀嚼嚥下におけるプロセスモデル(process model)を理解しておく必要があります。加えて、食欲や満足感などの要素も欠くことができない要素です。おいしく食べるためには空腹感が必要であり、社会生活を営むうえでの食べたいという動機も重要だからです。表11)に5期モデルにおける系統的観察、アセスメント、看護上の問題点、アプローチ項目を示しました。脳神経系のフィジカルアセスメントや、他疾患との関連性など多岐にわたる観察とアセスメントが必要です。以下に5期モデルの概要を示しましたので、その背景にある多面的な要素と照らし合わせながら観察とアプローチを進めていってください2、3)。食べるメカニズムの理解:5期モデルによる観察とアプローチNPO法人 口から食べる幸せを守る会 理事長JA神奈川県厚生連 伊勢原協同病院 小山珠美1章 摂食嚥下時の観察ポイントとアプローチ1環境調整の目的患者の食事空間を構成する物理的要素患者の安全とQOLに関連する組織力的要素QOLの向上多職種・同職種協働によるチーム力向上の要素マネジメントコミュニケーション安全でQOLの高い食支援誤嚥・窒息のリスク回避摂食訓練の効果を高めるセルフケア拡大患者を中心とした実践的スキルにより生じる要素物理的環境人的環境図1安全・安楽・自立性・QOLを高める食事環境調整の要素

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