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402019秋季増刊社会医療法人祥和会 脳神経センター大田記念病院リハビリテーション科 医長 松浦大輔2章 嚥下障害の原因と病態を知る 冒頭から個人的な話で恐縮ですが、筆者が脳血管障害を学び始めた駆け出しのころ、もっともむずかしく感じていたのが、「この患者さんにご飯を出していいのか?」という栄養アクセスの問題です。軽い意識障害があるものの唾液やトロミ水はなんとか飲み込める患者、聞き取れないほど重度の構音障害を合併し痰がゴロゴロしている仮性球麻痺患者、嚥下機能だけが選択的に障害されたワレンベルグ症候群の患者……、嚥下障害の頻度や多様性に驚きつつ、ベテラン看護師や先輩医師に相談しながら悪戦苦闘した記憶があります。 脳血管障害にかかわるうえで、嚥下障害対策は避けて通れない重要なテーマであり、個人のスキルとともにチーム力が必要です。そして看護師がチームの中心で力を発揮しやすく、大きな役割を担えるフィールドでもあります。 本稿では、脳血管障害の急性期と回復期の臨床場面を想定して、具体的にまとめました。はじめに 脳の血管に障害が起こることで生じる疾患の総称で、脳の一部の血管が閉塞し脳虚血に至る「脳梗塞」、脳内の血管が破れて脳内に出血する「脳出血」、脳の表面の血管が破れて脳表に出血する「くも膜下出血」を含みます図1。脳梗塞がもっとも多く、日本人の脳血管障害の75.9%を占 め1)、大血管の動脈硬化によるアテローム血栓性脳梗塞、単一の小血管の閉塞によるラクナ梗塞、心臓由来の血栓による心原性脳塞栓症が主な3つの病型です図1。出血性疾患では、脳出血では高血圧が、くも膜下出血では脳動脈瘤の破裂が最多の原因です。ここでは割愛しますが、その他にもさまざまな病態が関与しています。 いずれの疾患・病型でも、急性に発症し、その瞬間から障害が引き起こされるのが脳血管障害の特徴です。 最近、国内で実施された大規模な調査では、脳血管障害は人口10万人に対して年間166人に新たに発症しており、日本全体脳血管障害と嚥下障害の関連脳血管障害とは?脳血管障害は社会的に重要な課題1脳血管障害1

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