1362020秋季増刊拮抗失行とは●脳梁離断症状によって出現する症状。●右手が正しい行為をしようとすると左手が邪魔をして行為が拮抗するので拮抗失行といわれる(図1)。●右手でボタンを留めようとすると左手が外そうとするなど左手と右手が拮抗した動きをみせるだけでなく、協調性が低いながら左右の手が同じような動きをする場合や、まったく無関係な動きをする場合がある。●患者さんは自分の左手の運動を自制できず、右手を使って抑え込もうとしたり、左手は右手から逃げようとしたりする場面がみられることもある。●拮抗失行は右手の目的動作に触発されて出現する左手の随意運動障害と考えられている1)。●左半球にある「道具使用の知識」から前頭葉で運動記憶が賦活され、目的の行為を右手で実行する。拮抗失行antagonism5-6section図1 拮抗失行の例右手でコップをもって飲もうとすると、左手が邪魔をして口から引き離そうとする。
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