1422020秋季増刊症状の概説●大脳半球病巣と対側の刺激を発見して反応したり、その方向を向くことの障害である。●右利き者の大半において、左大脳半球が言語性に優位であるのに対して、右大脳半球は空間性注意に関して優位である。●半側空間無視は、ほとんどの場合、右大脳半球の脳血管障害後に「左」無視のかたちで起こる。●代表的な責任病巣は右頭頂葉であるが、前頭葉などのほかの部位でも半側空間無視は起こる。●右半球の脳血管障害ではつねに半側空間無視の存在を意識して対応する必要がある。●右半球の脳血管障害による入院患者さんでは、約4割に半側空間無視がみられる。●具体的には、右側を向きやすく左側を向いてくれない、食事で左側のものに手を付けない(図1)、移動時に左側のものにぶつかるなどの症状がみられる。半側空間無視の診断と評価の概説6-1section図1 典型的な半側空間無視患者さんの食事の例左側のお皿を見落とすだけでなく、ご飯やおかずの右側だけを食べて左側を食べない。向かいの人の食事(180度反対向き)にはバナナがあるのに、自分のにはないと言うこともある。全部を食べるには、身体の正面より右側にトレイを置く、右側を食べたらぐるっと180度回転するなどの工夫が必要なこともある。
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