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1762020秋季増刊森 志乃・大沢愛子効果的なアプローチ介護者が身体失認と同様に麻痺肢管理に気を配る 身体失認と同様に、非所属感から麻痺肢の自己管理は困難なことが多いため、介護者が麻痺肢管理に気を配る必要があります。 身体失認と同様に、視覚性の提示だけでは症状は改善しにくいといわれています。視覚性刺激と運動覚的入力や振動刺激の併用、言語性の提示を行うことが有効な場合があります。まず、非所属感の一因となる半側空間無視の治療をすることで改善が促されるとの報告もあります。自分の腕を「看護師さんの腕」という女性の症例 70歳代、女性Aさん(右手利き)。右中大脳動脈領域梗塞発症後1カ月の時点で、自身の腕を「看護師さんの腕」「重たくて邪魔」という発言がきかれ、身体パラフレニアを認めました。その他の症状として、重度の左片麻痺、重度左半身感覚障害、病態失認、左半側空間無視などが認められ、全般的認知機能はMMSE22点でした。発症から2カ月ほど経ち「看護師さんの腕はどこかにいってくれました」と言うようになりましたが、自分の腕とは感じられない非所属感は持続し、麻痺上肢の管理も不十分な状態のままであり、日常生活にはつねに介助が必要でした。ある患者さんの

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