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高次脳機能障害の看護を考えるには、2つのことに留意が必要です。1つは、高次脳機能障害の多様性です。高次脳機能障害は複数の神経がかかわる機能の障害です。したがって、その神経損傷の組み合わせパターンは膨大な数にのぼります。さらに現実の症例ではほとんどの場合、損傷が複数の部位にまたがります。つまり、さまざまなタイプの注意障害、記憶障害、遂行機能障害、失語症、社会的行動障害が複数重なっていて、多様な状態を呈するのが高次脳機能障害者の特徴なのです。この多様な状態を呈するという特徴は、対応も多様でないといけないことを意味します。もう1つの留意点は、環境との兼ね合いです。高次脳機能障害には環境が大きく影響します。同じ症状の高次脳機能障害者でも、過ごす環境によって症状の出方が違ってくるわけです。したがって、ある病院ではうまくいった対応も、別の病院ではうまくいかないことがあります。自分の病院に合う形に調整をしないといけないことになります。こうした特徴をもつ高次脳機能障害ですので、残念ながら対応は1対1にはなりません。では、どうすればよいのでしょうか。ベテランナースたちは自分の経験と照らし合わせながら個々の患者さんの対応を考え、調整しています。相手を見て、自分(の環境)を見て、ちょうどよい対応をなんとか考え出しているので神奈川県総合リハビリテーションセンター 高次脳機能障害支援室長 青木重陽

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