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94Nutrition Care 2018 秋季増刊胃切除術後患者の栄養管理と栄養指導のポイント1)身体計測および血液検査項目の確認と使用する指導媒体 栄養評価として利用しやすい項目は、平常時からの体重減少と血清アルブミン値です。術後の体重は平常時の90%くらいまでの減少を目安にします。それ以上減り続ける場合や短期間で減る場合は、食事に問題がある可能性があります。 栄養指導の媒体は、胃のはたらきを説明しやすいように図入りの資料を用います。また、食べ方や分割食のイメージをつかんでもらえるように、少なめの食事と間食の例を示します。2)重要な合併症と栄養指導時の注意点 胃を切除することで、食物の貯留機能と消化機能は低下、または失われます。食物は少量しか胃に入らず、すぐにお腹がいっぱいになるいわゆる小胃症状を多くの患者が起こす1)ことがあります。胃切除術後は、胸のつかえ感や、食物が急速に小腸に流れるために起こるダンピング症候群など、食物摂取に関連する不快な症状を起こすことがあります。これらを予防するために「食べ方」の指導が重要です。切除する部分や範囲によって起こりやすい症状は異なります。患者から食べ方や症状をよく聞き、患者個人に合ったアドバイスを行います。症例1)患者紹介患者:Aさん、60歳代後半、男性。無職。家族構成:妻と2人暮らし。主訴:便潜血陽性。診断名:胃がん。術式:噴門側胃切除術+胆囊摘出術+D2郭清術。既往歴:高血圧症、脂質異常症。身体計測:身長165.0cm、体重66.0kg(標準体重59.9kg)。血液生化学検査:WBC 5,800/μL、Hb 12.1g/dL、TP 7.0g/dL、Alb 4.5g/dL。服薬:アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、カルシウム拮抗薬、HMG-CoA還元酵素阻害薬。医療法人新井病院栄養課管理栄養士津賀祥子 つが・さちこ胃切除術後患者の栄養指導8

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