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95Nutrition Care 2018 秋季増刊患者背景:市の健診にて便潜血陽性。精査目的で当院を受診し、胃がんの診断。術前検査のため入院となる。2)指導計画・目標●本来の胃のはたらきを説明する。手術後の上部消化管の変化と摂取食物の流れの変化を理解してもらう。●よくかんでゆっくり食べる:胃の消化機能、食物貯留機能の低下を補う。●1日5~6回の分割食にする:胃の食物貯留機能が低下し、必要な栄養を確保するために分割食にする。●術後の回復を促すため、栄養バランスのよい食事にする。●食物摂取によって起こる不快な症状および食事内容を確認、評価し、患者個人に合わせた指導を行う。3)実際の指導  患者Aさん: Aさんの妻: 管理栄養士:初回指導(術前)管理栄養士:Aさん、こんにちは。管理栄養士のNです。Aさんは胃の手術をする予定ですね。Aさん:先生から、食事のことをよく聞くようにいわれています。Aさんの妻:先生から、胃の上のほうを半分とるといわれています。この人、もともと職人だから早食いで。先生に、手術の後はよくかんで食べるようにいわれているので、心配です。管理栄養士:職人さんだったのですね。どうして早食いがよくないのか、本来の胃のはたらきについて説明します。食物は胃のなかで胃液と混ざってお粥状になり、少しずつ十二指腸に送られます。胃袋といわれるくらいなので、食べたものを一時的にためておくことと、吸収しやすい状態にすることが胃の仕事です。①Aさんの妻:だから、よくかまないといけないのですね。管理栄養士:手術後は、口でよくかんで胃のはたらきを助けます。それから、食べものがたまる部分が小さ本来の胃のはたらきと術後の食物の流れの変化を理解してもらいます。そうすることで、これから話す術後の「食べ方」がイメージできるようになります。管理栄養士のチェックポイント①第3章症例で学ぶ 病態別栄養指導の○と× ⑧胃切除術後患者の栄養指導

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