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10 Nutrition Care 2018 冬季増刊●❶がん患者の栄養障害と体重減少 がん患者は、がんの診断時にすでに31~87%の症例で体重減少を認め、そのうち15%は6ヵ月の間に10%以上の体重減少があり、栄養不良があきらかです。がん患者の体重減少には、「がん関連体重減少(cancer-associated weight loss;CAWL)」と「がん誘発性体重減少(cancer-induced weight loss;CIWL)」があります。 がん関連体重減少は、たとえば幽門狭窄を呈する胃がんで食事がとれなくなるといった、がんの存在が物理的に消化・吸収を妨げるような場合に起こってくる体重減少です。そのため、がん関連体重減少は、通常の栄養療法を行うことで、体重減少が改善し、栄養障害は回復すると考えられています。 一方、がん誘発性体重減少は、がん宿主すなわち患者の炎症反応や代謝亢進に起因するため、通常の栄養管理は奏功しないと考えられています。これががん悪液質の誘因となります。がんに対する生体反応として炎症性サイトカインが産生され、全身的な炎症反応が惹起されることや、がん組織から産生されるたんぱく質異化作用や脂肪融解作用のある因子によって、体重減少がひき起こされるのです。 実際の症例の栄養障害は、がん関連体重減少とがん誘発性体重減少が純粋に一方のみということはなく、これらが関連して起こってきます。●❷がん患者のエネルギー代謝 がん患者の栄養障害の本質は、炎症性サイトカインによる基礎代謝の亢進であるという考えがあります。従来、がん患者は基礎代謝が亢進しており、エネルギー消費量は増大していると考えられてきました。しかし、現在では、エネルギー代謝の亢進がみられるものはがん患者のうちの何割かであり、がんの種類によってもその割合は違っていると考えられています。 がん患者の安静時エネルギー消費量は、算出された基礎エネルギー予想値より亢進しているのが25%、正常が50%、低下は25%という報告や、約50%で亢進をみたとされる報がんの代謝異常と栄養障害1丸山道生 まるやま・みちお●医療法人財団緑秀会田無病院院長

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