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99Nutrition Care 2019 秋季増刊かに重点をおいて指導を行いました。 内服薬については、しっかりと内服できていない様子であることから、すべての内服薬を食直後に変更したうえで、一包化して、内服コンプライアンスの改善を行いました。症例①:まとめ リンは血管の石灰化にかかわるほか、生命予後とも関連するため、しっかりとしたコントロールが必要です。とくに、本症例のように心疾患の既往がある場合は厳格なコントロールが求められます。リンはおもに小腸、腎臓における吸収と排泄、骨における吸収と形成のバランスで調整されています(図1)2)。透析患者は摂取したリンを腎臓から排泄することができないため、リン排泄は、腸管、腎臓の代わりの透析によって行われます。排泄できる量が限られているため、その限度を超えた場合に高リン血症を生じます。  透析患者における高リン血症の治療法には、おもに透析療法、食事療法、薬物療法があります。血清リン濃度は3.5~6.0mg/dLにすることが推奨されています3)。また、透析患者の場合は、リンの値とともに補正カルシウム値、副甲状腺ホルモン値も合わせてコントロールすることが重要です。 リンのコントロールにおいてとくに重要なのが食事療法です。透析患者では標準体重1kgあたり0.9~1.2gがたんぱく質の摂取量とされており、リンはたんぱく質1gあたり約15mg含有しています1、2)。ただし、同じたんぱく質といっても、肉や魚に多く含まれ血液検査一般生化学検査電解質WBC 6,100/μLRBC 363万/μLHb 11.1g/dLHt 34.0%Plt 24.7万/μLTP 6.2g/dLAlb 3.7g/dLBUN 78mg/dLCre 7.24mg/dLUA 7.0mg/dLALT 12IU/LAST 22IU/LALP 143IU/Lγ-GT 15IU/LLDH 191IU/LHDL-C 61mg/dLLDL-C 56mg/dLTG 89mg/dLGlu 241mg/dLHbA1c 10.8%CRP <0.3mg/dLint-PTH 216mg/dLNa 142mEq/LK 5.4mEq/LCl 106mEq/LCa 8.6mg/dLPi 9.4mg/dL表1●症例①の検査所見●アムロジピンベシル酸塩(アムロジピン錠5mg)1回1錠・1日2回・朝夕食後●オルメサルタンメドキソミル(オルメテックⓇOD錠40mg)1回1錠・1日1回・夕食後●カルベジロール(アーチストⓇ錠5mg)1回1錠・1日2回・朝夕食後●アトルバスタチンカルシウム水和物(リピトールⓇ錠10mg)1回1錠・1日1回・朝食後●沈降炭酸カルシウム(500mg)1回1錠・1日3回・毎食直後●炭酸ランタン水和物(ホスレノールⓇOD錠500mg)1回1錠・1日3回・毎食直後●ビキサロマー(キックリンⓇカプセル250mg)1回3錠・1日3回・毎食直前●テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(テネリアⓇ錠20mg)1回2錠・1日1回・朝食後表2●症例①の内服薬第     章症例に学ぶ電解質異常のアプローチ3

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