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10(10)Nutrition Care 2020 vol.13 no.1栄養教室の目的 集団栄養指導である栄養教室では、糖尿病や腎臓病、肝臓病などの慢性疾患である生活習慣病や、妊娠期の母親学級など、栄養管理の重要性を教育するさまざまな教室が各施設で展開されています。受講者の年齢層や生活背景であるバックグラウンドが異なりますが、疾患や目的が統一されていることから、指導者側は、短時間に効率よく栄養教育ができるメリットがあります。また、若手の管理栄養士が最初に指導する、いわば登竜門としている施設も多く見受けられます。一方で、受講者側は、同じ疾患やそれに伴う悩みを抱えているという共通した境遇であることから、情報共有の場となり、「自分だけではない」という安心感や一体感なども生まれ、栄養管理に対するモチベーションが高まるなど、行動変容をもたらすきっかけともなります。栄養教室の利点(表1)1効率のよい指導 指導対象者が複数であり、同一疾患であるので、決められた時間のなかで効率よく指導できるメリットがあります。それぞれの異なる生活背景やライフスタイルに沿った詳細な指導は個別指導に委ねるとして、共通した疾患に対する食事療法の意義・基本を理解してもらうことができます。2情報共有の場 栄養教室は、医師・薬剤師などの講義も組み込まれていることが多く、病態や服薬などの情報が共有できます。食事と薬との相互作用や、それぞれが聞きたい情報や新しい発見など、患者同士が情報共有の場として活用できる利点もあります。3一体感が生まれる 今まで疾病に対してオープンにできなかったことで、孤独感や疎外感をもっていた患者が、栄養教室をとおして、同じ疾患やそれに伴う悩みを抱えているという共通した境遇から、「自分だけではない」という安心感や一体感、仲間意識が生まれることがあります。食事に対しての悩みや相談などをフリーに話せる場として機能し、患者同士の話し合いによって、よりよいアイデアを得るなどの利点があります。4動機づけができる場 栄養教室では、病態の基本知識に触れることが多く、「なぜ食事に気をつけなくてはいけないのか」という患者の素朴な疑問に対して、食事が病態におよぼす影響をわかりやすく説明し1栄養教室で管理栄養士は何を伝えるか石井宏明 いしい・ひろあき▲東海大学医学部付属病院診療技術部栄養科科長

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