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Nutrition Care 2020 秋季増刊14食道の構造とはたらき 食道は消化器ですが、消化や吸収といった生理的な機能は直接的には担っていません。食道は、呼吸のために陰圧となっている胸腔内を食物が通過し、一時的な貯留の場の胃に至る通り道です。咽頭レベルから体の後方に位置し、気管や大血管の隙間を通り抜け、つねに体の後ろ側(背中側)を走行しています。臥位であればいちばん低い位置に相当します。食道は、食べたままのものが咀嚼されただけで消化を受けずに通過します。そのため、外的な刺激に対して障害されないように、食道粘膜は皮膚や口腔内と同じ重層扁平上皮で覆われています。また、筋層が口側から収縮しながら胃側が少しずつ弛緩する規則的な蠕動運動により、食物を途中で停滞させないように胃に向かって送り込んでいます。逆流防止機構 食道が胸腔内を通過して胃に達するため、陰圧である胸腔内に向かって胃から食物が逆流しないような構造的しくみが存在します。しかし、低栄養による筋肉構造の劣化や老化による固定の緩みなどで、このしくみは障害されやすく、一部は食道裂孔ヘルニアと呼ばれます。いずれにしても、陰圧となっている胸腔内食道への逆流現象がみられ、さまざまな課題となります。逆流は胃酸を伴うため粘膜障害を発症し、経口摂取に影響しやすいです。また、臥床時に咽頭まで逆流すれば肺炎を発症することもあって、栄養管理上の障害となりやすいため注意が必要です。●食道裂孔 食道が胸腔内から腹腔内に到達するには横隔膜を通過しなくてはなりません。うすい筋肉構造の横隔膜は胸郭下方にテントのように広がって辺縁が固定されていますが、脊椎側の付着部は横隔膜脚と呼ばれ、左右に分かれています。ここでの筋構造はやや厚く、この2食道大阪国際がんセンター栄養腫瘍科・消化器外科・緩和ケアセンター●飯島正平 いいじま・しょうへい

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