産業保健と看護2019春季増刊3ICTや産業機械技術の発展により作業の仕方は大きく変わり、働く中での活動量は減少しています。さらに、職場では作業の効率化や成果を上げることが求められ、働く人びとのストレスは高まっていると思われます。また、食生活をみるとファストフードやレトルト食品などの充実により、栄養素の偏りやエネルギー摂取過多という課題があります。このような労働生活や日常生活は働く人びとの健康に影響を与え、十分な労働能力を発揮することを阻害したり、QOLを落とすことにもつながりかねません。健康診断結果に基づき行う保健指導は、その人が自分の健康を振り返り、働き方や生活習慣を見直す機会となります。したがって、産業看護職はその時間をその人のためになるように有効に使う必要があります。しかしながら、自覚症状がなかったり、不調を感じておらずに「自分は健康だ」と思っている人に、健康課題を理解して行動変容を起こせるように支援することは容易ではありません。産業看護職のみなさまは、保健指導に日々悩み工夫しながら取り組まれているのではないでしょうか。本書は、健康診断の目的に合った保健指導を行うために、健康診断から保健指導までの流れの中でそれぞれのポイントを紹介しています。的確な健康診断結果を導くための健康診断の企画、実施や結果返却での従業員との関係づくりや保健指導、面談での行動変容への支援方法、また産業保健ならではの健康診断結果の検査所見を保健指導に生かす方法などを産業保健の第一線でご活躍されていらっしゃる経験豊富なみなさまにご執筆いただきました。健康診断から保健指導までの業務の流れをつなぎ、より効果的な保健指導を可能にするための一冊になったと思います。保健指導は1対1で行いますので、自分の面談を客観的に評価することは困難です。健康診断の見直し、保健指導の工夫や振り返りなどに、多くの産業看護職のみなさまが本書をご活用くださることを願っております。 最後に、出版にあたりご尽力いただきましたメディカ出版の稲垣賀恵様、横井むつみ様にお礼を申し上げます。2019年3月 四日市看護医療大学教授 畑中純子はじめに
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