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産業保健と看護2020春季増刊46 休職開始前の支援 この時期は、本人が治療や療養に専念できるように、関係者が協力して支援することが重要です。疾病や障害への不安に寄り添うことに加えて、給与や治療費、休職可能期間や仕事の引継ぎなど、さまざまな不安や悩みへの柔軟な対応が必要です。1 本人から両立支援の申し出があったら・不安な気持ちに寄り添い、ラポール(信頼関係)を形成する 本人が不安な気持ちを吐露し、産業保健スタッフ(産業医、産業看護職など)が共感的理解を示すことが、ラポールを形成する第一歩となります。本人の不安や悩みにすべて共感することは難しいですが、理解しようとする態度も重要です。その際には、本人の話を批判したり、産業保健スタッフが知りたい情報ばかりを質問するのではなく、本人の話にじっくりと耳を傾けましょう。休職開始前の限られた時間の中ですが、窓口となる産業保健スタッフが一度本人と会っておくとラポールの形成が促進され、休職期間中の支援が円滑になります。・労働者本人の心配事を把握する 休職期間直前は、自身の状況を冷静に、客観的にとらえることが難しいことが予3図2 ともに働き続けられる職場風土の醸成産業看護職職場上司職場風土の醸成には、職場の上司の理解も欠かせません。日頃から上司が部下の健康を気にかけている職場では、お互いの健康状態を職場のメンバーで日常的に共有しており、「病気で困ったときはお互いさま」の風土が根付いている場合が多いと感じます。健康教育などで上司の健康意識を高めることも大切です部門長へのアプローチ労働者健康教育などを通じて職場の一人ひとりが両立支援についての適切な態度と知識を獲得しておくことが重要です労働者へのアプローチ事業者事業主が本気で両立支援に取り組んでいるということを労働者に浸透させます。社長メッセージに両立支援について発信してもらうよう産業保健チームから働きかけ、社内イントラ等で情報発信するような仕掛けも一例です事業者へのアプローチ

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