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整形外科Surgical Technique vol.11 no.2 2021(151)13脛骨プラトー骨折  あらゆる骨折パターンに対応するための知識とその実践 ラトーの軟骨の厚さは6mm程度あり,この軟骨の厚みは関節のstep-offに対する耐久性と関連がある.このことから外側プラトー骨折後に5〜10mmのstep-offが残存したとしても長期的に問題がないとの報告もある3).一方で,最近の報告ではSingletonらによると2.5mm以上の転位が残存した脛骨プラトー骨折は,臨床成績が有意に不良であり5),Elsoeらは,脛骨プラトー骨折の既往自体が人工関節置換術の危険因子であると報告した.彼らによると,5年以内の人工膝関節置換術は健常者と比較して8.5倍に高くなり,20年以内では3.5倍であったと報告した6).現時点では,変形性関節症の危険性を可能な限り回避するには,関節面の解剖学的整復が必要と考えるほうが妥当である. これらの結果を踏まえて,著者の施設では,転位のある内側プラトー骨折,両顆骨折および,2.5mm以上の関節面の転位を有する外側プラトー骨折を手術適応としている. 転位がごく軽度で膝関節の不安定性のない症例,もしくは全身状態の問題から手術が困難な症例に対して保存治療が行われる.しかしながら,プラトー骨折の保存治療に関する明確な基準はない.6週間の外固定が必要とするものから早期の可動域訓練を推奨するものまでさまざまであり,受傷直後の外固定は疼痛の改善と炎症反応の減退を促すことから有用であるとの考えと早期の運動による関節機能の温存の双方に利点がある.しかしながら,荷重時期については制限が必要と考えられているようであり,6〜8週の免荷が必要である.著者は低エネルギー外傷によって生じた転位の小さい外側プラトー骨折に関しては,外固定は行っておらず,経過中に転位の増強による治療方針の変更を生じた症例はない.また,荷重時期に関しては,原則として6週間の免荷を指示し,その後疼痛に応じて荷重を許可している.分類方法の変遷 1960年にSchatzkerは脛骨プラトー骨折を6つの型に分類し,現在もなお臨床の現場において使用されている(図2)7).この分類はX線正面像における骨折の局在と関節面の陥凹の有無をもとにした分類であり,シンプルで骨折の重症度を簡潔に伝達する点において有用である.しかしながら,近年では関節内骨折の治療においては,より詳細に骨折を評価し治療プランを立てるために,CTを図1 脛骨両顆骨折(内側の剪断と外側の圧潰)剪断陥没Type ⅠType ⅡType ⅢType ⅣType ⅤType Ⅵ図2 Schatzker分類(文献7より改変)

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