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説明文例CHAP.1CHAP.2CHAP.3CHAP.4総論 がん患者の緩和ケア苦痛症状の患者説明ガイド症状緩和のための治療・処置疼痛治療の薬剤ポイント集プロフェッショナルがんナーシング 2017 春季増刊27肺の解剖 肺は、弾力性のある空気を出し入れする風船のような入れ物です。横隔膜と肋骨にある筋肉の動きで伸縮して、酸素の入れかえを行ないます。肺の伸縮を助ける2枚の胸膜のすき間には少量の胸水が貯留しています。胸水は、肺の伸縮を行ないやすくする“潤滑油”のようなもので大切な働きをしています。この潤滑油である胸水は、血管やリンパ液が胸腔にたくさん流れ込んでは、肺から吸収されます。本来、胸水は、胸腔に必要最低限の量しかたまりません。胸水がたまる理由 胸水は、健康な人でも5〜20mL程度の少量は存在します。しかし、がんになったことで、胸水の量が増加するようになります。これは、病的な胸水の貯留となり、体にさまざまな悪い影響を及ぼします。血液・リンパ液の流れが阻害されるために起こる胸水 肺や胸膜・リンパ管にがんができてしまったことで、血液やリンパ液の吸収が阻害され、胸腔に貯留し、過剰な胸水となります。また、がんが血液やリンパ液に入るとその中でがんの細胞が増えていきます。これにより血管やリンパ管以外の場所にがんが流れ込んでしまい、胸腔にも入り過剰な胸水となります。アルブミンの低下が原因で起こる胸水 がんができると、がんが体の中のアルブミンという栄養分をたくさん使ってしまいます。アルブミンは体の中の水分のバランスを整える働きをしています。アルブミンが不足していくことで、血管やリンパ管にとどまるはずの水分が血管・リンパ管の外に出てしまい、胸腔にも流れ込み胸水が増加します。また、肝臓はアルブミンを作る働きを持っています。そのため、がんが肝臓にあるとアルブミンが作られず胸水が貯留する原因となります。胸水がたまると現れるつらさ 胸水がたまりすぎると、肺の潤滑油は薄まり役割を失い、肺の伸縮を助けることができなくなります。それだけでなく、胸水が過剰に貯留すると肺を圧迫し、伸縮を妨げ、酸素の入れかえが十分に行なえなくなります。酸素が十分取り入れられなくなることで、体が酸素不足となり、「息が苦しい・吸いにくい」「胸が圧迫される」「胸が痛い」という感覚(呼吸困難)を生じます。 また、酸素不足により頭が痛くなる、ぼんやりする、疲れやすくなるという症状も現れます。酸素不足になると心臓がたくさんの血液を送り酸素を取り入れようとするので、脈が速くなりドキドキする感覚(動悸)が出現します。呼吸困難の出現により、十分な食事や排泄、睡眠がとれず、仕事や家事などに支障をきたしたり、気持ちのつらさにも影響する場合があります。胸水がたまったときの治療方法 胸水が少量増えただけでは呼吸困難は出現せず、治療の必要はありませ(次ページにつづく)
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