M271751
18/22

説明文例CHAP.1CHAP.2CHAP.3CHAP.4総論 がん患者の緩和ケア苦痛症状の患者説明ガイド症状緩和のための治療・処置疼痛治療の薬剤ポイント集プロフェッショナルがんナーシング 2017 春季増刊118こんな患者さんが適応です がんの骨への転移や多発性骨髄腫(血液がんの一種)により骨に病気がある人が対象となります。骨修飾薬であるビスホスホネート(ゾレドロン酸:ゾメタⓇやパミドロン酸:アレディアⓇなど)やデノスマブ(ランマークⓇ)の使用により、骨関連事象と呼ばれる病的骨折(がんや多発性骨髄腫による骨の病変が存在することで生じた骨折)、脊髄圧迫(骨の病変により脊髄が圧迫され手足の麻痺やしびれなどを生じる)、骨の病変に対する放射線治療や外科手術の発生を予防したり、遅らせたり、骨の痛みを軽減する効果があることがわかっています。またこのほかに高カルシウム血症(食欲低下、便秘、眠気、混乱などの原因となることがある血液中のカルシウム濃度が高くなってしまう状況)の治療薬として使用されることもあります。治療前後の注意点治療前 骨修飾薬での治療による重大な副作用として、あごの骨(顎がっ骨こつ)に炎症が起きたり(骨髄炎)、骨の細胞が局所的に死滅して腐った状態になる(顎がっ骨こつ壊え死し)ことがあります。顎骨壊死は、まれな副作用ですが、発生すると治りにくいため、予防がとても大切です。高カルシウム血症により緊急的な治療が必要な場合を除いて、骨修飾薬の使用前に歯科で口の中の衛生状態や治療が必要な齲う歯し(虫歯)がないか確認をしてもらいます。治療 がん患者さんに使用される頻度の高い骨修飾薬には、点滴と皮下注射で投与される2種類の薬剤があります。それぞれ薬剤の特徴が異なるため、骨の病変の状況や高カルシウム血症の有無、腎臓の機能低下の有無などによって、治療薬を選択したり、投与量の調整を行ないますので、主治医にどちらの投与方法の薬剤を使用するのか確認しましょう。治療後 治療直後(3日以内)の副作用としては、発熱、骨や関節の痛みの頻度が高く、ゾレドロン酸(ゾメタⓇ)で17.7〜20%、デノスマブ(ランマークⓇ)で8.4〜10.4%と報告されています。解熱鎮痛薬を使用することで対処できますので、治療前に主治医と副作用出現時の対応方法を相談しておきましょう。 治療後(10日以内)の副作用としては、低カルシウム血症(骨修飾薬のカルシウム低下作用や腎機能低下時に骨修飾薬の効果が延長することで生じる)の発症率がゾレドロン酸(ゾメタⓇ)3.3〜9%、デノスマブ(ランマークⓇ)で1.7〜10.8%と報告されています。多くは無症状ですが、手指や唇のしびれや動悸、こむら返りなどの症状が出現した場合には、低カルシウム血症が発症している可能性があり注意が必要です。特にデノスマブ(ランマークⓇ)で低カルシウム血症の発症頻度が高いことが知られており、予防的治療としてビタミンD製剤やカルシウム製剤が使用されることが多いです(ゾレドロン酸:ゾメタⓇでも状況により予防的治療が必要な場合があります)。(次ページにつづく)

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る