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198 YORi-SOUがんナーシング 2018 増刊①悪心・嘔吐(小室亜由美)悪心は「嘔吐しそうな不快感」、嘔吐は「胃内容物を強制的に排出させる運動」です。抗がん薬の副作用以外にも、イレウス、前庭機能障害、脳転移、電解質異常、オピオイドの使用、腸管蠕動運動麻痺の病態で、悪心・嘔吐を生じることがあります。【経過の傾向】急性:投与後 24 時間以内に発現。遅発性:24 時間後から 120 時間以内に発現。突出性:制吐薬の予防的投与にもかかわらず発現。予期性:抗がん薬のことを考えただけで誘発される。【症状の強さ(グレード)】◦悪心Grade2 顕著な体重減少、脱水、栄養失調を伴わない経口摂取量の減少。Grade3 カロリーや水分の経口摂取が不十分:経管栄養/中心静脈栄養(TPN)/入院を要する。◦嘔吐Grade2 外来での静脈内輸液を要する:内科的治療を要する。どういう副作用?主な/注意すべき原因薬剤高度催吐性リスクの薬剤・療法1)・シスプラチン・ドキソルビシン+シクロホスファミド療法(AC療法)・エピルビシン+シクロホスファミド療法(EC療法)※国内ガイドライン「催吐性リスク分類」参照出現時期Grade3 経管栄養/TPN/入院を要する。【緊急性の有無】以下の場合は、病院に連絡をするように指導します。◦水分摂取ができない。◦ほとんど食事が摂れない。◦頭痛や腹痛、めまいなどの症状がある。時期や性質によって以下のように薬剤を使い分け、症状を予防または緩和します。◦ 予防(急性-遅発性):NK1受容体拮抗薬(アプレピタント)、5-HT3受容体拮抗薬、ステロイド、オランザピン◦ 突出性:メトクロプラミド、プロクロルペラジンなど◦予測性:ロラゼパム、アルプラゾラム悪心が強いときは我慢せず手持ちの吐き気止めを服用することを説明しましょう。水分はこまめに摂取し、発熱や痛みなどがある場合は必ず病院へ連絡してもらうよう指導しましょう。支持療法どう伝えてもらいたいか・どうしてほしいか吐き気止めの薬は食事に関係なく服用してよいことを伝えています。「食事が摂れない」は体と心に負担をかけます。患者さんのなかには、我慢する人もいます。説明の際は、「お薬の力を利用して負担を軽くすること」を推奨し、まずは制吐薬の服用を促しています。

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