10 YORi-SOUがんナーシング 2018 増刊レジメン（regimen）とはどのようなものですか？皆さんは、海図を知っていますか？ 船の安全な航海のため、水深、海岸地形、海底危険物、航路標識などが、正確にみやすく表現されている海の案内図です。レジメンは、がん治療という海を渡るための海図です。がん治療の、薬剤の種類や量・日数・休薬期間、手順などを、投与する順番に示した計画書です。レジメンには、がん治療薬を安全に投与するための情報がたくさん含まれているのです。レジメンはなぜ必要なのですか？治療の効果をしっかり得るためには、決められた量の薬剤を正確に投与する必要があります。もちろん治療薬ばかりではなく、制吐薬、アレルギー予防薬、補液など、治療を助ける支持療法薬も確実に投与することで、副作用を悪化させずに治療を継続することができます。また、医療安全からもレジメンは有効です。決められたレジメンがあることでがん治療薬の量あるいは点滴速度を誤ってしまう危険性は少なくなり、多くの患者さんに質の高い治療を行なうことができます。レジメンとなる治療方法はどのように選ばれるのですか？皆さんはエビデンス（証拠）やEBM（evidence-（岡元るみ子、新井敏子）（岡元るみ子）（新井敏子）based medicine：科学的根拠に基づく医療）という言葉を聞いたことがありますか？ 臨床試験で治療効果が証明された標準的治療（一番治療効果の高い治療）がエビデンスのある治療として、レジメンに選ばれます。レジメンの内容は病院によって異なりますか？レジメンの骨格であるがん薬物療法薬の種類、投与量はどこの病院でも同じです。溶解液などは施設によって異なる場合があります。院内のレジメンはどのように作成・登録されるのですか？新しいレジメンは院内のレジメン委員会で承認されます。ナースの皆さんも医師や薬剤師と一緒にレジメン作成に参加してみましょう。発表となった論文で標準的治療の内容を確認します。新薬〇〇であれば、製薬会社から出ている「〇〇適正使用ガイド」を読んでみましょう。具体的な投与方法や副作用対策が書かれています。制吐薬や抗アレルギー薬の支持療法、レジメンの骨格であるがん薬物薬投与量を計算し、溶解液量、点滴時間を決めていきます。投与方法に加えて、副作用の観察事項、ケアについても確認や相談をしておくとよいですね。レジメンを理解するためのポイントを教えてもらえますか？次の順番でレジメンを確認していきましょう。①治療日数と休薬期間、②がん薬物治療薬の種類、③投与方法（点滴、内服、皮下注など）と投与時間、④支持療法（制吐薬の種類、アレルギー予防の有無、補液、利尿薬など）、⑤点滴ルートの種類、フィルターの有無、遮光の有無など、⑥投与中に気をつける副作用（血管外漏出、血管痛、アレルギー、インフュージョンリアクションなど）。レジメンの基本的なお話
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