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がん疼痛の緩和B1POINTの痛みには、がんそのものによる痛み、がん治療に伴う痛み(手術後の創痛や化学療法の副作用など)、がんの進行に伴う痛み(腸管閉塞によるイレウス、帯状疱疹痛など)のほかに、がんとは関係のない別の疾患の痛みがあります。がん患者さんだからその痛みがすべてがんによるものだと決めてしまうことは、ほかの疾患などによる痛みを見過ごしてしまう危険があります。患者さんの身近で医療にあたる看護スタッフが「危険察知レーダー」を研ぎ澄ましていることは、患者さんの苦痛を救う貴重な第一線活動です。痛みの情報収集からアセスメントへ 痛みは、100%患者さん本人の主観であり、現時点での医療レベルの血液検査結果や、画像検査などで痛みそのものを判別できるわけではありません。主観である痛みをどのようにアセスメントするか、少しでも客観評価できないのか、ここに難しさがあります。そのため、痛みのアセスメントには情報収集が必要です。次に項目別に記します。・ 痛みの部位、痛みの強さ、痛みの性質(たとえば、侵害受容痛はずきずきうずく、拍動性のことがあります。あとで解説する神経障害痛は灼熱感、ひりひり、電撃様などの性質があります)・ 時間経過(持続痛、突出痛、持続痛+突出痛)・ 悪化する要因、緩和する要因(お風呂に入って温まったらやわらぐ痛みなど)・ 文化・教養的要因・ 薬剤使用歴・ 痛みによるADL障害(痛みで眠れなかったり、トイレに行くことが苦痛だったりすることはとても大きな障害です) 具体的な痛みのアセスメントツールには、VAS、NRS、Face rating scaleなどがありますが、患者さんの年齢と認識力に応じたものを使用することが大切です(図1)。 そして、今までとこれからのことについて記録をつけましょう。過去の使用薬剤の効果と副作用や痛みを記録する日記をつけチェック(これには食事や睡眠の項目も含められています)を行い、痛みの変化と治療効果の経時変化を記録することで、今後の痛みに備えます。痛みに伴いそれ以外の症状も出ます。症状としては倦怠感、吐き気、息苦しさ、食欲不振、気分の落ち込み、不安などが挙げられますが、そのような症状をチェックするツールとしてカナダのエドモントン症状評価システム、アメリカのM.D.アンダーソンがんセンター版症状評価票などを使用するのもよいでしょう。 また、痛みの治療プランに役立つ根拠を求めて、MRIやCTなどの画像検査や血液検査YORi-SOUがんナーシング 2019 春季増刊  19

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