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食欲不振の原因と対応 食欲不振の原因はさまざまです。腹水貯留や嘔気・嘔吐や便秘、悪液質、口腔環境の悪化、不安、抑うつなど何でも原因になりえます。がん診療の臨床においては、さまざまな時期にさまざまな原因で食欲が落ちます。しばしば、患者さんもご家族も「食べられないと病気が治らない」「無理してでも食べないと、体が悪くなる」などと思いがちなので、われわれは「食は大事だけれど、食べることに固執しすぎる必要はない」ことを念頭において、時にはそれを明確に相手に伝える必要があります。食欲不振の構造1 食欲不振の構造は図1の通りです。このうち、食べたいのに食べられない場合は、食べられる環境があれば食べることが可能です。食べたくないから食べない場合は、機能的に可能になれば食べたくなる可能性があります。機能的には食べることが可能でも食べる意欲がないから食べないという場合には、精神的ケアなどが必要になる場合があります。そのほかの場合には、何らかの原因を治療もしくは除去することで食べられるようになる可能性があります。ほかの症状や病気に伴う食欲不振に関しては、まずそちらの症状や病気を改善することが大前提であり、それに加えて食欲を増すことができるような工夫が必要となるのですが、治せる、あるいは改善できることを改善してもなかなか改善しない食欲不振の場合には、特にケア面での工夫が必要になります。消化器症状の緩和④食欲不振C 身体症状の緩和 ●食欲不振の原因は多様です。 ●食欲不振では、薬物療法による効果が乏しい反面、ケアの力を総合して取りかかるとよい効果が生まれる場合があります。 ●食欲はとても大切な欲のひとつであり、食欲が増す方法を最期までいっしょに考えていく姿勢とそのプロセスが大切です。ここで覚えておきたいこと!106  YORi-SOUがんナーシング 2019 春季増刊

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