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身体症状の緩和C8POINT投与するべき化学合成物質などに関する判断2 日本緩和医療学会の「がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン」によれば、「化学療法、放射線療法が原因でないがん患者の食欲不振に対して、コルチコステロイドの投与を行うことを推奨する(強い推奨、中程度の根拠に基づく)」「化学療法、放射線療法が原因でないがん患者の食欲不振に対して、エイコサペンタエン酸の投与を行わないことを提案する(弱い推奨、中等度の根拠に基づく)」「化学療法、放射線療法が原因でないがん患者の食欲不振に対して、プロゲステロン製剤の投与を行うことを提案する(弱い推奨、中程度の根拠に基づく)」「化学療法、放射線療法が原因でないがん患者の食欲不振に対して、六君子湯の投与を行う推奨はエビデンスが不足しているため結論できない」などとされています1)。コルチコステロイド、プロゲステロン製剤に関しては、使用してみた感覚で好印象だったり効果的であれば、期間を限定して使用してみるとよいかもしれません。食欲不振のケア3 食欲不振の際のケアをいくつか挙げておきます。まず挙げられるのは食事指導でしょう。これは管理栄養士や摂食・嚥下障害看護認定看護師、またNST(Nutrition support team:栄養サポートチーム)が大いにその能力を発揮する場であると思います。基本的に大切なことは、食は「生きる」ためにとても大切な要素だと認識することです。どのような状況下でも「食べたい」という気持ちを大切にし、食べたいのに食べられないタイプの食欲不振の場合には少しでも食べられるような工夫に取り組む姿勢が重要です。 食欲不振は器質的に食べられない場合に生じることがある反面、器質的には問題がなくても、(胃切除後の患者さんなどによくみられる)おなかが減る感覚がないために食べた食欲不振食べたいのに食べられない食べたくないから食べない(機能的には食べられるはずだが)食べたいのに食べられない(機能的に食べられないため)食べたいのに食べられない(機能的には食べられるはずだが)食べる意欲がないから食べない(機能的に食べられないため)食べる意欲がないから食べない図1食欲不振の構造(著者私見)YORi-SOUがんナーシング 2019 春季増刊  107

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