予後予測の重要性と方法について 緩和医療において、予後予測を行うことは重要です。終末期の患者さんやご家族にとって、残された時間がどの程度あるのかまったく見当がつかないと、「今後のこと」を決めにくくなります。「今後のこと」というのは、治療やケアの内容、療養の場所、目標やその優先順位など多岐にわたります。では、どのように予後予測を行えばよいのでしょうか。予後予測のアプローチ方法1 予後予測を行う際には、大きく分けて2通りのアプローチ方法があります。 ひとつは医師の頭のなかで主観的に予測する方法です。これは以前から用いられてきましたが、しばしば正確ではなく、実際の予後よりも長く見積もられる傾向があるという報告があります1)。 もうひとつの方法は、前者のような主観的な判断を極力排除した、検査などの客観的なデータなどから予測する方法です2)。終末期がん患者さんの予後予測のツールとして代表的なものに、Palliative prognostic index(PPI、表1)とPalliative prognostic score(PaP Score、表2)があります。 PPIでは、Palliative performance scale(PPS)、経口摂取量の減少、浮腫、安静時の呼吸困難、せん妄から得点を算出します。合計得点が6より大きい場合、3週間以内に死亡する確率は、感度80%、特異度85%、陽性反応適中度71%、陰性反応適中度90%です3)。予後予測F 人生の最終段階へのサポート ●残された時間を予測することは、患者さんが今後の目標を設定するときの一助となります。 ●終末期がん患者さんの予後予測では、ADLや食事量、浮腫、呼吸困難、せん妄、採血結果を用いる手法があります。 ●客観的な予後予測ツールを用いても、予測した時期よりも早く、思いがけない急変が起こることがあります。ここで覚えておきたいこと!186 YORi-SOUがんナーシング 2019 春季増刊
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